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いつの間にか精霊王は消えていた。
夜の時間は短く、すぐに朝がやってきた。
紫の夢消草は、まるでスターシアの森夢を吸い取るように、みるみるしおれていった。
「ああ、カルビ!」
とスターシアが気がついた。
「よかった」
カルビがきつく抱きしめた。
「よかったな」
ナムルが鼻をすすった。
「わたし……いっぱい夢を見ていた……」
「森夢にやられてたんだ」
「森夢?」
「ああ……森の病だ……」
「ふたりが助けてくれたのね……」
スターシアがやさしい目でカルビとナムルを見つめた。
「なあスターシア」
「なに?」
「実はね。スターシアを助けるために、森の精霊王と約束したんだ」
「どんな?」
「森の中にある老木をスターシアが助けなくちゃいけないんだ」
「いいわ」
「俺たちも手伝うから。な、ナムル」
「もちろんだ!」
「さあ、ひと眠りして出かけようぜ……」
とナムルが言った。
「……眠ってだいじょうぶか?」
「一度森夢に冒されてればだいじょうぶ」
「そうなんだ」
「ああ」
それを聞いてカルビはほっとしたのか、疲れがどっと出た。
「少し眠ろう……」
カルビが横になる。
「うん」
スターシアがうなずいた。
横になるとカルビはすぐに寝息をたてた。その横顔をスターシアはじっと見つめた。
「わたしを助けるために、苦労したのね。ありがとう。さて……」
と、スターシアが立ち上がった。
今度は、自分ひとりでやらなくちゃ、と思った。
「ちょっと、待てよ」
声に振り返った。
虎のナムルが起きあがってニカッと笑っている。
「お、起こしちゃった。ごめん」
「ひとりで老木を助けようとしてるな」
「えっ、ああ」
「どうしてだ! 俺たちは仲間じゃないのか」
「う、うん……」
「カルビは、あんたが大好きなんだ……」
「……」
「な、みんなでやろう」
「うん」
スターシアは、カルビの横に腰をおろした。そして、カルビの髪に触った。
それから長い時間、スターシアはカルビの寝顔を見ていた。いつの間にかスターシアはカルビのことをいとおしい存在に思っていた。
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