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ICON 新二都物語カルビサーガ 第98話

 いつの間にか精霊王は消えていた。
 夜の時間は短く、すぐに朝がやってきた。
 紫の夢消草は、まるでスターシアの森夢を吸い取るように、みるみるしおれていった。
「ああ、カルビ!」
 とスターシアが気がついた。
「よかった」
 カルビがきつく抱きしめた。
「よかったな」
 ナムルが鼻をすすった。
「わたし……いっぱい夢を見ていた……」
「森夢にやられてたんだ」
「森夢?」
「ああ……森の病だ……」
「ふたりが助けてくれたのね……」
 スターシアがやさしい目でカルビとナムルを見つめた。
「なあスターシア」
「なに?」
「実はね。スターシアを助けるために、森の精霊王と約束したんだ」
「どんな?」
「森の中にある老木をスターシアが助けなくちゃいけないんだ」
「いいわ」
「俺たちも手伝うから。な、ナムル」
「もちろんだ!」
「さあ、ひと眠りして出かけようぜ……」
 とナムルが言った。
「……眠ってだいじょうぶか?」
「一度森夢に冒されてればだいじょうぶ」
「そうなんだ」
「ああ」
 それを聞いてカルビはほっとしたのか、疲れがどっと出た。
「少し眠ろう……」
 カルビが横になる。
「うん」
 スターシアがうなずいた。
 横になるとカルビはすぐに寝息をたてた。その横顔をスターシアはじっと見つめた。
「わたしを助けるために、苦労したのね。ありがとう。さて……」
 と、スターシアが立ち上がった。
 今度は、自分ひとりでやらなくちゃ、と思った。
「ちょっと、待てよ」
 声に振り返った。
 虎のナムルが起きあがってニカッと笑っている。
「お、起こしちゃった。ごめん」
「ひとりで老木を助けようとしてるな」
「えっ、ああ」
「どうしてだ! 俺たちは仲間じゃないのか」
「う、うん……」
「カルビは、あんたが大好きなんだ……」
「……」
「な、みんなでやろう」
「うん」
 スターシアは、カルビの横に腰をおろした。そして、カルビの髪に触った。
 それから長い時間、スターシアはカルビの寝顔を見ていた。いつの間にかスターシアはカルビのことをいとおしい存在に思っていた。


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