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冷気が森をおおう。
夜の闇がせまってきた。
カルビは宝石魔法をかけられ石のように硬くなってしまったスターシアに寄りそうように座っていた。
「まだかよ!」
と、カルビがイラつく。
「そろそろか……」
かたわらのナムルが星を見上げながら立ち上がった。
「よしゃ! 行こうぜ!」
「スターシアはオレが……」
ナムルが軽々とスターシアを持ち上げ、背負った。
「山の国がオレたちの邪魔をしてるみたいだよな」
カルビは歩きながらつぶやいた。
「そうかもしれんな」
ナムルは大きく息を吐いた。
「なんで? オレたち、悪いことしてるか? この国をもう一度まとめようとしてるだけじゃないか」
「一度バラバラに壊れたものは、なかなか元にはもどらねえのかもな」
「そーいうもんかな」
カルビが押し黙った。
夜空にまたたく星を木の枝の間から見ると十字架に見える。
「たぶん、はっきりと十字架に見える場所があるんだ……」
それからふたりは、いろいろな木の下に移動して夜空をながめた。
たくさんの星はあったが、十字架にはなかなか見えなかった。
「あっちだ!」
「こっちだぜ!」
と、森の中を走り回わった。
どのくらいの時間がたったろうか。もう夜明けまで時間がなかった。
「ちくしょう! どこだ!」
と、ナムルがあせる。
「あせって、見のがすなよ!」
「ああ!」
「どうした?」
「来てみろ! カルビ!」
ナムルが指さした先に、くっきりと星が十字架に輝いていた。
葉と葉が重なる枝の間から、その星は巨大な十字架に見えた。
その木はどこにでもある木だった。
「あった」
「やった! 夜の十字架だ!」
ナムルが拳を握った。
「もう少しがんばれよ! スターシア……絶対に助けるから……」
そう言うと、カルビは輝く十字架を見つめた。
神経を集中して、結界の消えている場所を探していた。
どんな些細なことも見のがすまいと、目を見開いて、ジッと星の輝きを見つめた。
そうやっていると、自分がだんだん森の空気に同化していくように思えた。
山と海は比較される。
山も海も、同じように命を育む。
海の水が水蒸気となり山に雨を降らせ、その雨が川となり栄養分を海へと運ぶ。だが、山の生き物を海に入れれば死んでしまうし、海の生き物を山に持ってくればやはり死んでしまう。
海の民と山の民が共に暮らすことは不可能なことなのか。
カルビは、大きな壁の前に立っている気分だった。
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