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ICON 新二都物語カルビサーガ 第96話

 冷気が森をおおう。
 夜の闇がせまってきた。
 カルビは宝石魔法をかけられ石のように硬くなってしまったスターシアに寄りそうように座っていた。
「まだかよ!」
 と、カルビがイラつく。
「そろそろか……」
 かたわらのナムルが星を見上げながら立ち上がった。
「よしゃ! 行こうぜ!」
「スターシアはオレが……」
 ナムルが軽々とスターシアを持ち上げ、背負った。
「山の国がオレたちの邪魔をしてるみたいだよな」
 カルビは歩きながらつぶやいた。
「そうかもしれんな」
 ナムルは大きく息を吐いた。
「なんで? オレたち、悪いことしてるか? この国をもう一度まとめようとしてるだけじゃないか」
「一度バラバラに壊れたものは、なかなか元にはもどらねえのかもな」
「そーいうもんかな」
 カルビが押し黙った。
 夜空にまたたく星を木の枝の間から見ると十字架に見える。
「たぶん、はっきりと十字架に見える場所があるんだ……」
 それからふたりは、いろいろな木の下に移動して夜空をながめた。
 たくさんの星はあったが、十字架にはなかなか見えなかった。
「あっちだ!」
「こっちだぜ!」
 と、森の中を走り回わった。
 どのくらいの時間がたったろうか。もう夜明けまで時間がなかった。
「ちくしょう! どこだ!」
 と、ナムルがあせる。
「あせって、見のがすなよ!」
「ああ!」
「どうした?」
「来てみろ! カルビ!」
 ナムルが指さした先に、くっきりと星が十字架に輝いていた。
 葉と葉が重なる枝の間から、その星は巨大な十字架に見えた。
 その木はどこにでもある木だった。
「あった」
「やった! 夜の十字架だ!」
 ナムルが拳を握った。
「もう少しがんばれよ! スターシア……絶対に助けるから……」
 そう言うと、カルビは輝く十字架を見つめた。
 神経を集中して、結界の消えている場所を探していた。
 どんな些細なことも見のがすまいと、目を見開いて、ジッと星の輝きを見つめた。
 そうやっていると、自分がだんだん森の空気に同化していくように思えた。
 山と海は比較される。
 山も海も、同じように命を育む。
 海の水が水蒸気となり山に雨を降らせ、その雨が川となり栄養分を海へと運ぶ。だが、山の生き物を海に入れれば死んでしまうし、海の生き物を山に持ってくればやはり死んでしまう。
 海の民と山の民が共に暮らすことは不可能なことなのか。
 カルビは、大きな壁の前に立っている気分だった。


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