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〈銀の皇帝〉ガッデムは、大きな剣を肩にかついでズッと前に出た。そして剣をブンッと振った。
空気が震えた。腕力が自慢らしかった。
「今度は手加減しないぞ!」
「いいわよ何度でもいらっしゃい」
軽くスターシアが受け流した。
「てめえ!!」
その答え方がガッデムの怒りをあおった。
いきなりスターシアの首を狙い剣を水平に振った。
大きく振り回せば、スキができる。
スターシアは冷静だ。
剣の動きを見た。
素早く腰をかがめて剣をやりすごすと、一気にダッシュしてガッデムの右手首に狙いを定めた一閃。
目にも止まらぬ早さだ。
「うおっ!」
ガッデムは剣を落とした。そして、手首をおさえて呆然とした。
囲んでいたガッデムの部下たちは声もない。
「ちくしょう! 油断した!」
ツバを吐き捨ててくやしがった。
「油断だと思うのなら、もう一度剣を取ってかかっていらっしゃい!」
すっと、スターシアの目が獲物を狙う目になった。
「こんちくしょう!」
ガッデムがあわてて剣を拾う。
こんな屈辱は初めてだった。
カッとしていた。どんなことをしても、目の前の小娘を斬って捨てなくては、〈銀の皇帝〉として部下たちにしめしがつかなかった。
「うおおおおおおおおおおお!」
怒声を上げてガッデムが突っ込んできた。
距離は五メートル。
剣を腰の後ろに引いて、切っ先を隠し、間合いを計らせないようにしていた。
かなり高度な剣の技だ。
なるほど、さすがに〈銀の皇帝〉を自ら名乗るだけのことはあった。
先ほどの対決で一応、剣は使える。と、スターシアは見ていた。
「だが!」
と、スターシアは口に出して言った。
「まだ甘い!」
いきなりスターシアが相手の間合いに突っ込む。
「うわっ!」
びっくりしたガッデムが剣を振る。
普通、突っかけられて自分から間合いを短くするヤツはいない。
相打ちになるからだ。
だが、剣の達人に近いスターシアには、ごくあたりまえの戦い方だった。
キーーーンと、スターシアはガッデムの剣を一撃で止めた。
止めてから、クルリと体を入れ替えて、ガッデムの足下を蹴り上げた。
ドンッとガッデムがひっくりかえる。
スターシアの剣が、ガッデムの首にピタリと当たる。
「負けた! まいった! さあ、殺せ!」
ガッデムが大きな声でわめいた。
「殺してもしかたないわ」
スターシアが剣を腰に納めた。
その瞬間、ガッとガッデムがスターシアの足首をつかみ、ビュンと振り回して投げた。
卑怯なことだ。
投げられたスターシアは、地面に背中から落ちた。
「おのれッ!」
スターシアが苦しそうな声を上げた。
「わははははは! 勝ちゃいいんだ!」
と、立ち上がり、すばやく駆け出し、スターシアの体の上にダイブした。
ドーーーン!
地響きがした。
スターシアは、ガッデムのボディプレスをモロにくらった。
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