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ICON 新二都物語カルビサーガ 第88話

〈銀の皇帝〉ガッデムは、大きな剣を肩にかついでズッと前に出た。そして剣をブンッと振った。
 空気が震えた。腕力が自慢らしかった。
「今度は手加減しないぞ!」
「いいわよ何度でもいらっしゃい」
 軽くスターシアが受け流した。
「てめえ!!」
 その答え方がガッデムの怒りをあおった。
 いきなりスターシアの首を狙い剣を水平に振った。
 大きく振り回せば、スキができる。
 スターシアは冷静だ。
 剣の動きを見た。
 素早く腰をかがめて剣をやりすごすと、一気にダッシュしてガッデムの右手首に狙いを定めた一閃。
 目にも止まらぬ早さだ。
「うおっ!」
 ガッデムは剣を落とした。そして、手首をおさえて呆然とした。
 囲んでいたガッデムの部下たちは声もない。
「ちくしょう! 油断した!」
 ツバを吐き捨ててくやしがった。
「油断だと思うのなら、もう一度剣を取ってかかっていらっしゃい!」
 すっと、スターシアの目が獲物を狙う目になった。
「こんちくしょう!」
 ガッデムがあわてて剣を拾う。
 こんな屈辱は初めてだった。
 カッとしていた。どんなことをしても、目の前の小娘を斬って捨てなくては、〈銀の皇帝〉として部下たちにしめしがつかなかった。
「うおおおおおおおおおおお!」
 怒声を上げてガッデムが突っ込んできた。
 距離は五メートル。
 剣を腰の後ろに引いて、切っ先を隠し、間合いを計らせないようにしていた。
 かなり高度な剣の技だ。
 なるほど、さすがに〈銀の皇帝〉を自ら名乗るだけのことはあった。
 先ほどの対決で一応、剣は使える。と、スターシアは見ていた。
「だが!」
 と、スターシアは口に出して言った。
「まだ甘い!」
 いきなりスターシアが相手の間合いに突っ込む。
「うわっ!」
 びっくりしたガッデムが剣を振る。
 普通、突っかけられて自分から間合いを短くするヤツはいない。
 相打ちになるからだ。
 だが、剣の達人に近いスターシアには、ごくあたりまえの戦い方だった。
 キーーーンと、スターシアはガッデムの剣を一撃で止めた。
 止めてから、クルリと体を入れ替えて、ガッデムの足下を蹴り上げた。
 ドンッとガッデムがひっくりかえる。
 スターシアの剣が、ガッデムの首にピタリと当たる。
「負けた! まいった! さあ、殺せ!」
 ガッデムが大きな声でわめいた。
「殺してもしかたないわ」
 スターシアが剣を腰に納めた。
 その瞬間、ガッとガッデムがスターシアの足首をつかみ、ビュンと振り回して投げた。
 卑怯なことだ。
 投げられたスターシアは、地面に背中から落ちた。
「おのれッ!」
 スターシアが苦しそうな声を上げた。
「わははははは! 勝ちゃいいんだ!」
 と、立ち上がり、すばやく駆け出し、スターシアの体の上にダイブした。
 ドーーーン!
 地響きがした。
 スターシアは、ガッデムのボディプレスをモロにくらった。


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