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〈銀の皇帝〉の部下たちが広場のまわりを囲んで殺気立っていた。
黒い雲がさらにのしかかってくる。
息が詰まるような重い空気であった。
野盗などというのは、しょせん大将がいなければ、状況を判断できない群れにすぎない。そういう意味では国家の軍隊とはまったくちがう。
スターシアはシーアスの王宮騎士団でハイレベルな修行をした。だから、この野盗たちの心の動揺が読みとれた。
だが、こういう規律なき群れは暴走しやすいこともわかっていた。
バーーーーン!
と誰かが、重い空気に耐えられなくなって銃を撃った。
弾はスターシアのかなり離れたところではねた。
この発砲で「わーーーっ!」と群れは囲みを縮めた。
「ガーーーッ!」
と、ナムルが吠える。
その一吠えが、群れの動きを止める。
「スターシア! こいつらの動きを止めておいてくれ」
と言って、ナムルはいきなり地面を掘った。
ガッガッガッガッ!
「なにしてるの?」
スターシアは剣を抜き放ち、野盗たちを牽制しながら聞いた。
「こいつの毒を抜くんだ! いささか原始的だがな」
とみる間に大きな穴を掘った。
ナムルはカルビを抱えると、穴の中に入り上から土をかけた。
スターシアはナムルに言われたとおり、その穴の周りを守った。
穴の中では、ナムルがカルビの体を抱きながら、土のエネルギーを借りて解毒しようとしていた。
どのくらいの時間がたったのか。
土は暖かかった。
ドクッ! ドクッ! と強くカルビの鼓動が聞こえた。
思ったより回復が早い。
毒のまわりが弱かったようだ。いや、カルビの体が強かったのかもしれない。
「がんばれ! カルビ」
と、ナムルはカルビのからだをマッサージした。
もう少しだった。もう少しで、カルビの毒が消える。
地上では、スターシアが野盗とにらみあっていた。
「な、なにやってんだああああああああ!」
突然、〈銀の皇帝〉が現れた。
さっき、あの建物のなかでもだえ苦しんでいたガッデムが起きあがってきたのだ。
部下たちが緊張した。
俄然野盗の目の色が変わる。
スターシアは一瞬、やばいな。と思った。
「ふざけたマネをしくさって! この小娘ッ!」
〈銀の皇帝〉が剣を抜いた。
部下たちも剣を抜く。数は100人くらいか。
「なんとしても、ここは守らなくちゃ……」
スターシアが本気になった。
剣の腕は、王宮騎士団のなかでも折り紙つきだ。
最初に10人ほどが、「わーーーっ!」と叫びながら剣を振りまわし突っ込んできた。
「ちっ!」
スターシアが一瞬で状況を判断する。
野盗の太刀筋は甘い。
訓練されたものじゃない。だが、数がいる。
スターシアは3人の剣をいきなりはじき、体を入れ替えると、さらに3人を斬った。
騎士に数は関係ないといわんばかりの鮮やかな戦いだった。
4人があわてて立ち止まった。
しかし、スターシアは攻撃の手をゆるめない。
低く走って、4人をつぎつぎに斬った。
「ぬうううっ……」
〈銀の皇帝〉がうなる。
部下たちがひるんでいた。
〈俺がやる!〉
ズイッと、〈銀の皇帝〉が前に出てスターシアをにらみつけた。
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