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ICON 新二都物語カルビサーガ 第77話

「て、てめえ」
「わたしは、スターシア。あなたにてめえなどと呼ばれる覚えはありません」
「うぐぐぐ……」
「そこのバックレッグさんも、動かないでくださいね。さもないと、お兄さまの首と胴体が離ればなれになりますよ」
 スターシアの冷静さが、野盗たちの動きを鈍らせた。
 気合いで、完全にスターシアの勝ちだった。
「よっこいしょ」
 と、カルビは足のムチをはずしながら、
「さあ、いいぜ。もう1回、やろうブラックベアー!」
「カルビ!」
「いいんだよ。決着つけなくちゃ」
 カルビはスターシアの言葉をさえぎった。
「でも」
「仙人が言ってただろ。力を使いすぎるなって。だけど、力をぶつけなくちゃだめなときもあるんだ」
 カルビはカルビなりにいろいろ考えていたのだった。
 頭で考えるよりも、ぶつかってなんとかしようとするタイプの男の子なのだ。
「わかった」
 と、スターシアが剣を引きながら、バックレッグの方を見た。
 あなたが動けば、わたしも剣を抜くわよと、スターシアは目で牽制した。
「おーーしゃ! いい根性だ!」
 ブラックベアーが立ち上がり、両方の腕をグルグルと回した。やる気まんまんだった。
 筋肉が大きく膨らみ、体中から熱気がわきあがった。
「いくよ」
 散歩にでも行くような、気楽な感じでカルビが戦闘開始を告げた。
「うりゃーーーーーーーーっ!」
 空気を引き裂くような勢いで、ブラックベアーの拳が飛んできた。
 正面で受ければ、確実にふっとばされる。
「ぐあああああ!」
 しかし、カルビは裂帛の気合いで、正面から受け止めにいった。
「カルビ!」
 スターシアも無謀だと思った。
 ガアッシャッ!
 ものすごい音がした。
「うぐぐぐぐ!」
 ブラックベアーが真っ赤になっている。
 止めた!
 カルビは、みごとにブラックベアーの超重量級のパンチを正面から止めたのだ。
「な、なぜだーーーーー!」
 ブラックベアーははじめて拳を受け止められた。ましてや、相手は、チビだった。プライドが壊れそうになった。
 かろうじてブラックベアーを支えたのは、部下たちが見ているということだった。
「それで終わりかよ」
 カルビがにっこりと笑った。
 ブラックベアーはカッとなった。冷静でいられなかった。
「うおおおお!」
 さらに拳に力を込めた。
 だが、力めば力むほど、本当の力は出ない。
 パッと躍んだカルビが、ブラックベアーの後頭部を蹴る。
 ゴンッ! と鈍い音がした。
 同時に、ダーーーンとブラックベアーが倒れた。
「単純な攻撃なんだから」
 と、カルビは言いながら、ブラックベアーの背中にカツを入れた。
「うあっ!」
 とブラックベアーは起きあがって、大きく息をしながら、カルビを見つめた。
 その目の中には、カルビに対する恐怖の色があった。


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