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「て、てめえ」
「わたしは、スターシア。あなたにてめえなどと呼ばれる覚えはありません」
「うぐぐぐ……」
「そこのバックレッグさんも、動かないでくださいね。さもないと、お兄さまの首と胴体が離ればなれになりますよ」
スターシアの冷静さが、野盗たちの動きを鈍らせた。
気合いで、完全にスターシアの勝ちだった。
「よっこいしょ」
と、カルビは足のムチをはずしながら、
「さあ、いいぜ。もう1回、やろうブラックベアー!」
「カルビ!」
「いいんだよ。決着つけなくちゃ」
カルビはスターシアの言葉をさえぎった。
「でも」
「仙人が言ってただろ。力を使いすぎるなって。だけど、力をぶつけなくちゃだめなときもあるんだ」
カルビはカルビなりにいろいろ考えていたのだった。
頭で考えるよりも、ぶつかってなんとかしようとするタイプの男の子なのだ。
「わかった」
と、スターシアが剣を引きながら、バックレッグの方を見た。
あなたが動けば、わたしも剣を抜くわよと、スターシアは目で牽制した。
「おーーしゃ! いい根性だ!」
ブラックベアーが立ち上がり、両方の腕をグルグルと回した。やる気まんまんだった。
筋肉が大きく膨らみ、体中から熱気がわきあがった。
「いくよ」
散歩にでも行くような、気楽な感じでカルビが戦闘開始を告げた。
「うりゃーーーーーーーーっ!」
空気を引き裂くような勢いで、ブラックベアーの拳が飛んできた。
正面で受ければ、確実にふっとばされる。
「ぐあああああ!」
しかし、カルビは裂帛の気合いで、正面から受け止めにいった。
「カルビ!」
スターシアも無謀だと思った。
ガアッシャッ!
ものすごい音がした。
「うぐぐぐぐ!」
ブラックベアーが真っ赤になっている。
止めた!
カルビは、みごとにブラックベアーの超重量級のパンチを正面から止めたのだ。
「な、なぜだーーーーー!」
ブラックベアーははじめて拳を受け止められた。ましてや、相手は、チビだった。プライドが壊れそうになった。
かろうじてブラックベアーを支えたのは、部下たちが見ているということだった。
「それで終わりかよ」
カルビがにっこりと笑った。
ブラックベアーはカッとなった。冷静でいられなかった。
「うおおおお!」
さらに拳に力を込めた。
だが、力めば力むほど、本当の力は出ない。
パッと躍んだカルビが、ブラックベアーの後頭部を蹴る。
ゴンッ! と鈍い音がした。
同時に、ダーーーンとブラックベアーが倒れた。
「単純な攻撃なんだから」
と、カルビは言いながら、ブラックベアーの背中にカツを入れた。
「うあっ!」
とブラックベアーは起きあがって、大きく息をしながら、カルビを見つめた。
その目の中には、カルビに対する恐怖の色があった。
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