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紅蓮の炎となった竜巻がナムルを飲み込む。
「わはははははははは!」
勝ち誇ったようにアランが笑う。
竜巻がゆっくりとおさまっていく。
そして、アランが地上に降り立った。
あたりはボロボロになっていた。
民家の白壁がくずれ、赤瓦の屋根が吹き飛び、庭の木々は倒れ、まるで、爆弾を落としたような惨状だった。
いまだかつてシーアスの中心部がこれほどひどい被害を受けたことなどなかったはずだ。空飛ぶ虎と魔界の青年がほんの数十分の空中戦をしただけで、こんなにもひどいことになってしまったのだ。しかし、市民たちは、いったい何が起こったのか正確に判断できず、ただ恐怖して逃げまどうだけだった。
「わははははははははは!」
まだ、アランは笑っていた。
笑われるのは嫌いだが笑うのは好きなようだった。
そして、人々が泣き叫ぶ様を、心底うれしそうにながめていた。
「うん?」
アランがちょっとした気配に気づいた。
その瞬間だ。
地面を割ってナムルが現れた。
ナムルは全長が10メートルはあろうかというほど巨大化していた。
そして、バシッ! とアランをつかむと、怒りに燃える目で見つめた。
「食ってやるぞーーーーーっ!」
ナムルが吠えた。
「うるさい! 虎野郎! 食えるもんなら食ってみろ!」
と言ったアランが、なんと、こちらも巨大化した。
「うおっ……」
ナムルが驚いてアランを離した。
「どうだ! でかくなるくらいなら私にもできる!」
「この野郎!」
ナムルがつかみかかった。
「魔血衆をなめるな!」
「だれが、てめえなんかなめるかよ!」
ふたりは取っ組み合いになった。
もう収拾がつかない。
バリバリ。ドカドカ。バキバキ。グシャグシャ。
家は壊れる、堤防は粉砕する、運河は崩す。
ようやく、ことの重大さに気づいたシーアス軍がふたりに向かって一斉射撃を開始した。
ドドーーーーーーン!
ドドーーーーーーン!
すさまじい量の砲弾を投入した。
白煙と黒煙がもうもうと立ちこめる。
だが、爆発のなかでも平気でナムルとアランは取っ組み合っていた。
「すごいわ!」
と、魔女ウキウキが小さな小屋の陰から身をのりだした。
「あぶないです」
隣につきそっていたスターシアの従者ネコットが止める。
「わたし断然、虎さんの味方しちゃうわ!!」
「えっ!?」
ネコットがあわてる。
まさかと思っていたら、本気で、ウキウキが砲撃のまっただなかに向かって走った。
「やめてくださーーーーーい!」
ネコットが叫んだが遅かった。
「ウキウキ変身!」
なにやら怪しい呪文を唱えると、ウキウキも巨大化した。
「ま、まさか……」
巨大化した3人が入り乱れるのを、呆然とネコットは見つめていた。
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