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ICON 新二都物語カルビサーガ 第66話
 瞬時にアランの持っている殺気を感じたナムルは「ぐあっ」と吠えると、鋭い爪を立てて襲いかかった。
「ふん」
 鼻先で笑ったアランが身をかわした。
 アランは空中に軽やかに立っていた。
「てめーーーーっ!」
 ナムルの脳天を怒りが直撃した。
 それがまるで作戦のように、アランはひらひらとからかうようにナムルの攻撃をかわした。
「ごおおおおおお! ぐおおおおお!」
 と、ナムルの頭から蒸気が立ち上る。怒りが沸騰寸前だった。
 山の神として君臨した昔、ナムルは無敵だった。
 しかし、目の前にあらわれたアランは、やさ男のくせに、ナムルの攻撃を簡単にあしらってしまった。
「さて、そろそろこちらも……」
 アランがグイッと片手を伸ばす。
 伸ばしたその手のひらから、グオオオオオオオオオオオンと青い稲妻がナムルめがけて走る。
「な、なんだーーーーーーーーっ!?」
 ナムルは叫ぶと翼で体を守った。
 ドガガガガガガーーーーーッ!
 青い稲妻がナムルの翼にはじかれた。
「ほう……なかなかやるな」
「てめえは誰だ!?」
「私は、魔界の向こうからやってきた殺し屋、魔血衆のアラン」
 魔界の向こうからやってきたと聞いて、ナムルは呆然とした。
 まさか、魔界との扉を開けるやつがいるなどとは思ってなかった。
「あはははははは! 冗談は休み休み言えーーーーーっ! アホーーーーーっ」
 と、笑った。
「笑うなーーーーーーっ!」
 アランがマジになった。
「笑ってやる! あははははははは!」
「笑うなーーーーーーっ! 私は、笑われるのが嫌いだーーーーっ!」
「嫌われるのがスキだから、笑ってやるーーーっ!」
 バカバカしい言い争いだった。
「ぐおおおおおおおおおお!」
 切れたのはアランだ。
 両手を天にかかげ、ぐるぐるとひねった。
 そこに青い竜巻が生まれた。
 ゴオオオオオオオオオオオオオッ!
 うなりをあげて竜巻が大きくなる。
「しゃらくせえ!」
 ナムルにも山の神の意地があった。
 たとえ、相手が魔界の者でもここは一歩も引けなかった。
「おりゃああああ!」
 ナムルは黒い翼を必死に羽ばたかせた。
 その勢いで竜巻を消そうとした。
「なめるな! 虎野郎!」
「うるせえ! 青二才!」
 たしかに、青いスーツをつけた若いアランに青二才とはよく言った。
 このダジャレが、さらにアランをカッカとさせた。
「絶対に、虎の焼き肉にして食ってやるぞ!」
 アランは自分の体をひねり、竜巻に飛び込んだ。
 竜巻はさらに凶暴になってナムルに向かってきた。
「しゃらくせえ!」
 ナムルがおもいっきり口から炎を吹き出した。
 轟音をたてて、青い竜巻全体が炎に包まれた。
「ざまあみろ! バカ野郎め! あははははは」
 と、笑ったナムルに、炎の竜巻が頭上からおおいかぶさってきた。
「どひゃああああああああ!」
 ナムルが叫んだ。


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