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「ホロンさま! ほんとうに、魔界の扉を開くつもりですか!?」
若い僧がいま一度、問う。
「疑うな! わしは魔法教会にゆるぎない力をもたらしたいのじゃ!」
次席司祭ホロンのにごった目が若い僧をとらえた。まるで金縛りにあったように、若い僧は動けなかった。
「魔界の者よ! 魔血衆よ! いまここに目覚めよ! おまえたちの好むいけにえは、ここに形ある!」
ホロンが呪文を唱えた。
見る見る魔法陣のまわりにならべた人形の白い紙が赤く、まるで血の色に染まってゆく。その瞬間、ネイタスの町のあちこちで、子ども、大人、女、男の区別なく、100人が原因不明の病に倒れた。
ホロンがさらに呪文を唱える。
すると、魔法陣のなかに青い煙が立ち昇った。
「魔血衆よーーーーーっ!」
ぐるりと、ホロンの目がひっくりかえり、白目がむきだしになった。
グルグルと青い煙が逆巻く。
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どこからともなく風がビュウと吹いた。
「俺を呼ぶのは、何者か!」
声があった。
「はい。魔法教会次席司祭ホロンでございます!」
床に額をこすりつけるようにして、ホロンは魔法陣の前にひざまずいた。
「100のいけにえ、たしかにもらった! 願いをかなえよう!」
青い煙が立ち消えて、そこには青いスーツを着た若い男が立っていた。
男はニヒルに笑い、長い髪をゆらした。
「虎があばれております。山の神です」
ホロンが訴えた。
「ほう。1000年ぶりに地上に出てみれば、魔血衆のアランさまに山の神を退治しろと言うか」
「ああ……」
と、うろたえるホロンの顔を片手でつかみアランはグイッと顔を近づけた。
「あわわわ……」
ホロンは恐怖に脂汗を流した。
「ふふ……まあよい。魔血衆の力を見せてやろう。われらは殺戮を愛する!」
と、ホロンの額に口づけをした。
「ぎゃああああああ!」
ホロンは見る見る体中の生気を抜かれ、その場に枯れ枝のようになって倒れた。
「くくくくく……楽しいな」
アランは、呆然としている僧たちを見渡し、悪魔の笑いを浮かべた。
「さあて、暴れるか」
そう言って、再び青い煙に包まれた。
「うわああああああああ!」
いまさら、僧たちは恐怖の声を上げた。
魔法教会は、禁呪である魔界の扉をついに開いてしまった。
ナムルはシーアスの軍隊をおおかた蹴散らしていた。
「あはははは、さあ、来い! 腰抜けども!」
瞬間! ドーーーーーーンという衝撃波がナムルを襲った。
ギュルルルルルル。
ナムルは、まっ逆さまに落ちた。
「ぐおおおお! な、なんだ!?」
叫んだナムルの耳に、「あはははははは」という笑い声が聞こえた。
「ぬおおおお!」
体勢を立て直したナムルが、翼をはばたかせて、グイーーーーンと急上昇した。
「甘いな!」
ナムルの目の前に、アランがいた。
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