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ゴウゴウと燃えていた。
炎の中で、シーアスの兵がもだえ苦しむ。
「うわああ! 天罰だーーー!」
「悪魔の虎だーーーーーー!」
と、下級兵士は突然空からやってきた黒い翼の虎におびえていた。
それでも、甲冑をつけた鉄騎馬兵は「撃てーーーっ!」と砲撃命令を出しながら走りまわり、逃げようとする兵に向かって剣を振った。
「たたりです! 神聖なナラヤーナの樹に向かって砲撃などしたからだ!」
「うるさい! 魔法教会にさからうな!」
と、鉄騎馬の兵は、下級兵士をその場で斬り捨てた。
ひとり逃げふたり逃げ、しまいには総崩れになる。だから、戦場では兵隊に、前進するよりも逃げることが恐いのだということを教えなくてはならない。
戦争とは、このように理不尽で残酷なものなのだ。
軍隊が守るものは国の名誉であり、決して、国民ではないのだ。
ナムルの怒りが炎となって口から吐き出される。
「これでも喰らえっ!」
グオオオオオーーーーーーッ!
さらに強烈な炎を吹きながら、ナムルはギュウーーーーンと急降下と急上昇をくりかえしながら、シーアス城へ飛び去った。
「追えーーーーーーーっ!」
指揮官が叫んだ。
シーアスの軍隊が城の方角に反転した。
「ついて来い……いいぞ、それでいい」
ナムルがニヤリと笑った。
ナムルはなんとかカルビとスターシアを逃がすための時間稼ぎをしていた。
「よーし、このままシーアスのど真ん中で暴れれば、やつらを釘付けにできるな」
さらにスピードを上げて、ナムルは高く飛んだ。
森を抜けると城が見えてきた。
左には、大きく紺碧の海が広がっている。
潮風を感じた。
「カルビよ……」
口の中でそうつぶやいた。
ナムルの胸がザワッとした。
甘くせつない感じがした。
「きっかけなんてどうでもいいんだよな……」
ナムルは、カルビに命をやった。その命をいつか取り返そうと思っていた。
だが、ずっと一緒にいたことで、いつしか友情が生まれていた。
「おまえと、ただ一緒にいるだけで楽しかったぜ」
そういうものだ。友情とは。ただ一緒の時間を共有しているだけでつながりあえて、なにもしなくても楽しい時間。
「大事にしようおまえのこと……」
ナムルは心の底からそう思った。
そして、ひとり、いや1匹でシーアスになぐり込みをかけようとしていた。
「カルビ! 逃げろ! そしてスターシアを幸せにすんだぞ!」
叫びながら、ナムルは炎を吐いた。
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ゴウゴウと炎が町を燃やす。
「なにっ!?」
魔法教会の地下で知らせを聞いた次席司祭のホロンが立ち上がり、
「魔血衆を招喚しろ!」
と、叫んだ。その顔には、何かを決意した色があった。
「ま、魔血衆を……招喚されるのですか……」
その言葉に、集まった僧たちが恐れの表情を浮かべた。
「招喚せよ!」
再度、ホロンの声が響いた。
「ははっ!」
礼をした僧が、床に魔法陣を描き始めた。
「いけには?」
「シーアスの市民を100人!」
「はっ!」
僧は手分けして、白い紙を人形に切って魔法陣のまわりにならべた。
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