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「うおおおおおおおおおおお!」
カルビがもう一度吠える。
野性の声だった。
スターシアを守りたかった。
それは、ナラヤーナの樹の下の約束だった。
「うおおおおおおおおおおお!」
どうしたことだ、声を上げると体中に新しい力がみなぎってきた。
(男の子は、女の子のために戦うんだ!)
そう思った。
拳に力をみなぎらせる。
「どあああああああああああ!」
渾身の力をこめて、カルビは銀の怪物をなぐった。
「ぎゃああああああああああ!」
怪物は、電気に撃たれたように棒立ちになって、そのままバタンと倒れた。
「スターシア!」
カルビが駆けよる。
「カルビ!」
スターシアはひとつ年下の少年カルビを、このとき特別な気持ちで意識した。
まだ愛というほどには成熟していない淡い気持ちだった。
だが、強烈にカルビを心にとどめた。
「ねえ、その手袋はなに?」
スターシアは、カルビがいつの間にかしている手袋を見つめた。
「これか? これは、子どもの頃にもらったんだ」
「ふーん」
「じいさんにもらったんだ」
「誰? その人?」
「山のじいさんさ。すごい力を持っていてね、俺にいっぱい技を教えてくれた」
「そのひとが、手袋を?」
「そうだよ」
「見せて?」
「だめだよ!」
「なんで?」
「だって、人に貸しちゃだめだって……!」
「そう。ムリ言ってごめんね」
「いいさ。もしかしたら、いつか貸せるかも……。そのときは、まずスターシアに貸す」
「ありがとう」
にっこりとスターシアが微笑んだ。
その笑顔が、カルビは好きだと思った。
「さあ、行こう! あの祭壇の下に教会の秘密があるはずだ!」
「うん!」
カルビとスターシアが、ついに神聖にして犯しがたい魔法教会の祭壇に足を踏み入れた。祭壇につながる階段には、周りが金の糸で刺繍された、血のように赤い布がかけられていた。
階段をのぼるスターシアの足が小さく震えた。
スターシアの意識の中には、いかに魔法教会が悪であろうと、長い間にすりこまれた神聖なものとしての教会があった。
神を踏みにじっているような気がした。
「どうした、スターシア?」
「ううん。なんでもない」
スターシアは精一杯、平静さを保とうとした。
「下がれ! 罪深き者よ!」
祭壇の奥から、荘厳な声が響いた。
それは、司祭フルブの声だった。
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