Top 見る・読む 参加する ご案内
ICON 新二都物語カルビサーガ 第58話

 カルビとスターシアは〈闇の扉〉をくぐり、ついに魔法教会のど真ん中に出た。
 教会のなかは薄暗く、アーチ型の高い天井の一部にだけ、ステンドグラスから差し込む月の光が反射している。
 そこには、幾体ものからみあった男と女の絵が描かれていた。
 空気がねばついている。
 それは、死の匂いのように思えた。
 スターシアは、ドキドキした。
 心臓が爆発しそうだった。
「カルビ……」
 小さくスターシアがつぶやいた。
 そのとき、突然、バリバリと祭壇に稲妻が走った。
 カルビは、はっと光の方向を見た。
 スターシアはカルビの手をはなし、腰の剣に手をかけた。
 ゴーーーーーーーーーーッ!
 と、祭壇から風がうなった。
「スターシア! 下がれ!」
 カルビがスターシアを押す。
 すばやくカルビが宙に躍る。
「がるるるるるるる!」
 怪物だった。
 緑の怪物。体中がドロドロにくずれた怪物が、祭壇の下から飛び出してきた。悪意があった。悪意のかたまりだった。
 瞬時にカルビは、怪物の目を狙って蹴りを喰らわせた。
「ギャアアアアアア!」
 怪物がのけぞる。
「やーーっ!」
 そこをスターシアの剣が怪物の胴をまっぷたつに斬った。
 ドーーーーーーーーーン!
 と、声もなく怪物は倒れた。
「くそっ! これが教会の本性か! ここは化け物製造工場かよ!」
「カルビ! まだ、殺気があるわ!」
 スターシアが剣を構えて、あたりをうかがう。
 バチバチバチッ!
 いきなり火花が散った。
 今度は、銀色の怪物が石の床に爪を立てながら現れた。
 バチバチバチッ!
 爪が床をけずるたびに火花が飛ぶ。
「だっ!」
 スターシアの剣はあざやかだった。
 キーーーーーーーーン!
 怪物の手がのびて剣を止める。
「な、なにっ!」
 スターシアの剣がやすやすとはじかれた。
 こんなことははじめてだった。
 次の瞬間、銀の怪物の腕がさらにのびてスターシアをとらえた。
「ぐるるるるるる」
「うぐっ!」
 スターシアの顔がゆがむ。
「スターシア!」
 カルビが夢中で銀の怪物の背中へダイブした。
「離せーーーーーーーーっ!」
「がるるるるるる!!」
 怪物が体を激しく振った。
「うああああああ!」
 スターシアは体をしめつけられ声を上げた。
「くそっ! くそっ! くそったれ!」
 カルビは拳で怪物をなぐりつづけた。
 だが、素手では、この怪物にはどうにも歯がたたなかった。
「くそーーーーーーーーーっ!」
 カルビが天を仰いで吠えた。


前へ 新二都物語カルビサーガTOPへ戻る  次へ
PageTopへサイトマップへ
著作権についての考え方