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| 新二都物語カルビサーガ 第56話 | |
| 「バッカス伯爵……」 床に黒いシミとなって残っているバッカス伯爵の消失あとを見つめながら、スターシアはつぶやいた。 「感傷的になっているときじゃない」 「うん」 カルビの言葉に、スターシアは素直にうなずいた。 「ウキウキ!」 カルビは、ウキウキを呼んだ。 「なに?」 ウキウキが、走ってカルビの横にきた。 「あれは、なんだ?」 カルビは、ウキウキが消し去ったゆがんだ空間のことを聞いた。 「あれは、闇の扉よ」 「もしかして、その扉をくぐりぬけて、どこにでも行けるのか?」 「ま、まさか! カルビ!」 ウキウキの顔色が変わった。 「ああ、俺がその扉をくぐって、魔法教会に行く! 逆襲だ!」 カルビはニコッと笑った。 どんな状況にいても、カルビはへこたれない。なんとかしようとするエネルギーがあった。 「そ、それって、すっごく危険だよ!」 「なにが!?」 「人間が闇の扉に入ると……人間じゃなくなっちゃうかもしれないんだ……」 「どんな風に?」 「わかんないよ! 闇の扉に入った人間なんていないもん!」 「じゃ、やってみようぜ。誰もやったことないならおれがやる!」 「ムチャクチャだよ……カルビ」 ウキウキは困った。 「そうね、やめた方がいいわ」 スターシアも心配した。 「魔法教会の力はでっかくて、誰も倒せねえ。じゃあ、こっちは死んだ気になってぶつかるしかねえじゃねえか! それで、ダメなら納得できるだろう!」 「でも……よく考えてカルビ」 スターシアがカルビを正面から見つめた。 「行くぞ! その闇の扉を開け、ウキウキ! 行き先は魔法教会! 敵の中心部にいきなり攻撃だ!」 うれしそうにカルビが言った。 死の不安など、みじんも感じていなかった。 それよりも、目の前のスターシアのために戦いたいと思った。 「じゃ、やるよ! さあ、闇と闇をつなぐ扉よ……いま、ここに命ずる……わが前と、魔法教会をつなぐ道をつくり、ここに扉を開け!」 ウキウキが呪文を唱えた。 すると、空間が波紋のようにゆがんだ。 「カルビ! いいよ!」 「よしっ!」 カルビが空間のゆがみに入ろうとした時、 「わたしも!」 と、スターシアが言った。 「おまえはダメだ!」 カルビが振り返ってスターシアを止めた。 「わたしは、この戦いの責任をとらなくちゃ!」 スターシアには悲壮感があった。 「なんでよ! なんで、あんたがカルビと一緒に行くわけ! あたしは、ここにいなくちゃダメなの! ここで、この扉を固定してないと、扉が閉じちゃうじゃないの!」 ウキウキがさわぐ。 「ネコット! ウキウキを守って!」 「はい!」 スターシアの命令には逆らえなかった。 「よし! 行こう!」 「はい!」 カルビとスターシアが空間のゆがみに入った。 「ずるいよーーーーーーーーっ!」 置いて行かれたウキウキが叫んだ。 |
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