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「助けて下さい、神さま……」
剣を構えたネコットは口の中でつぶやき、
「かかって来い!」
と言った。
「こいつらは、生きている人間じゃない……こんなやつらにかまわず逃げろ!」
伯爵がネコットの肩をつかんだ。
「いやです! わたしだけ逃げるなんて!」
「命は大事にするものだ! おまえは騎士ではなく、姫の従者なのだぞ! 姫を探し、お守りしろ!」
と言った瞬間、バッカス伯爵は動けぬ体で剣を横にはらった。
せまってきた僧の首が三つ、いきなり宙に飛んだ。
「美しいシーアスを、こんな化け物どもに渡すものか!」
バッカスは怒りに燃えた。
体からカッ! と炎が噴き出したように見えた。
いや、実際に、バッカスの体は炎に包まれた。
人間の怒りの頂点が生み出す、自然発火現象だった。
ゴウゴウと燃えあがるバッカス。
その怒りの炎がグオオオっと幾筋もの炎の帯となって飛ぶ。
「ぎええええええええええええええっ!」
つぎつぎと、僧たちが炎に焼かれ灰となってゆく。
「伯爵!!」
ネコットが悲痛な叫びを上げた。
「わがシーアスに栄光あれ! スターシア姫に栄光あれ!」
炎の中から伯爵のうめくような声がした。
「伯爵!!」
ネコットがもう一度叫んだとき、バッタリと伯爵は倒れ、炎とともに、その肉体も消滅した。
だが、炎を逃れた魔法教会の僧たちが、ネコットを囲む。
「くそっ!」
ジリッ、ジリッ。
囲みが縮まる。
「うおおおおおおおおおお!」
ネコットは、死を覚悟した。
と、その瞬間!
「この野郎!」
廃屋の扉を破り、飛び込んできたのはカルビだった。
そのうしろにはスターシアがいた。
「姫さま!!」
ネコットの目に涙がわき上がった。
なぜ、カルビとスターシアが一緒にいるのかなどということは、考えてもみなかった。ただ、スターシア姫が生きていた喜びに心が震えた。
「どけーーーーーーーっ!」
カルビの体が躍った。
ネコットがその言葉に反応して、ダッ! と壁際に下がる。
「バケモノどもめーっ!」
カルビの鉄拳がうなる。
早い!
なんとも早い!
僧たちをつぎつぎとぶっ倒した。
スターシアの剣もうなる。
「これは……」
廃屋の戸口に立っていたウキウキが、建物の中のゆがみを見つめた。
そして、両手を空間にかかげ、
「闇の扉よ……静かに閉じよ!」
と、呪文を唱えた。
魔法教会の僧が出てきた空間のゆがみがみるみる閉じた。
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