|
町はずれの廃屋の中に反乱を起こしたバッカスたちは逃げ込んだ。
「まだ……わしらは負けぬ……」
と、負傷したバッカス伯爵は苦しそうな声を出した。
「すでに、ここにいる五名だけとなりました……」
若い騎士が言った。
「そうか……だが……まだ……ゴホゴホ」
バッカスが胸を押さえて咳込んだ。すでに動けなくなっていることを伯爵は知っていた。
「王宮騎士団の中で立ち上がったのは、一部の者だけでした……」
「わかっておる……わしに人徳がなかった……」
「そんなことはありません、伯爵!」
と言ったのは、スターシアの従者長ネコットだった。
彼も、この戦いに参加していた。
「伯爵!」
若い騎士たちは、伯爵の周りを囲んだ。
「まだ……負けぬ……このバッカスは……まだ……あははは」
まわりの空気を気づかって、バッカスは陽気な声で無理に笑った。
ここが見つかるのも時間の問題だった。
「ここまでかな……」
伯爵が小さく言った。
そのとき、あたりの空間がグニューーーーっとゆがみはじめた。
殺気がみなぎった。
「なにっ!」
騎士たちが剣をかまえた。
空間から、剣を握った魔法教会の僧が、ぬるりと現れた。
「きえええええええええええっ!」
僧は、奇声を上げて、剣をふりまわした。
「であっ!」
騎士のひとりが簡単に僧を斬り倒した。
「きえええええええええええっ!」
「きえええええええええええっ!」
「きえええええええええええっ!」
だが、僧はつぎつぎと空間から飛び出してくる。
「でああっ!」
騎士たちが斬っても、斬っても、僧が現れた。
いつのまにか、騎士のひとりが、僧に斬られた。
「うわああああああ!」
ひとりの騎士は、無我夢中で剣をふりまわした。
もう、騎士としての誇りも技もなかった。
「きえええええええええええっ!」
斬られた僧が、騎士にしがみついた。
「離せ! 離せ!」
と、もがく騎士。
「きええええええええええええっ!」
数人の僧が、その騎士に剣を突き立てて突進した。
「ぐああああああああああああ!」
 |
騎士が恐怖のあまり叫んだ。そして、叫んだ瞬間に死んだ。
「伯爵!」
残った騎士が、伯爵を守った。
「けけけけけけ!」
と、僧たちは奇声を上げた。
「こいつら、人間じゃないぞ!」
伯爵が言ったとき、僧たちは騎士に襲いかかった。
「うおおおおおおおおおお!」
ネコットも剣を振った。
「おのれ! 騎士の名誉にかけて、わしは恐怖の叫びなど上げんぞ!」
伯爵が、傷ついた体を起こし、剣を構えた。
そこへ、僧が剣を突き立てようとした瞬間、ネコットが割って入る。
「うけけけけけけけ!」
僧たちが不気味に笑いながら伯爵とネコットを囲んだ。
|