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ICON 新二都物語カルビサーガ 第54話

 町はずれの廃屋の中に反乱を起こしたバッカスたちは逃げ込んだ。
「まだ……わしらは負けぬ……」
 と、負傷したバッカス伯爵は苦しそうな声を出した。
「すでに、ここにいる五名だけとなりました……」
 若い騎士が言った。
「そうか……だが……まだ……ゴホゴホ」
 バッカスが胸を押さえて咳込んだ。すでに動けなくなっていることを伯爵は知っていた。
「王宮騎士団の中で立ち上がったのは、一部の者だけでした……」
「わかっておる……わしに人徳がなかった……」
「そんなことはありません、伯爵!」
 と言ったのは、スターシアの従者長ネコットだった。
 彼も、この戦いに参加していた。
「伯爵!」
 若い騎士たちは、伯爵の周りを囲んだ。
「まだ……負けぬ……このバッカスは……まだ……あははは」
 まわりの空気を気づかって、バッカスは陽気な声で無理に笑った。
 ここが見つかるのも時間の問題だった。
「ここまでかな……」
 伯爵が小さく言った。
 そのとき、あたりの空間がグニューーーーっとゆがみはじめた。
 殺気がみなぎった。
「なにっ!」
 騎士たちが剣をかまえた。
 空間から、剣を握った魔法教会の僧が、ぬるりと現れた。
「きえええええええええええっ!」
 僧は、奇声を上げて、剣をふりまわした。
「であっ!」
 騎士のひとりが簡単に僧を斬り倒した。
「きえええええええええええっ!」
「きえええええええええええっ!」
「きえええええええええええっ!」
 だが、僧はつぎつぎと空間から飛び出してくる。
「でああっ!」
 騎士たちが斬っても、斬っても、僧が現れた。
 いつのまにか、騎士のひとりが、僧に斬られた。
「うわああああああ!」
 ひとりの騎士は、無我夢中で剣をふりまわした。
 もう、騎士としての誇りも技もなかった。
「きえええええええええええっ!」
 斬られた僧が、騎士にしがみついた。
「離せ! 離せ!」
 と、もがく騎士。
「きええええええええええええっ!」
 数人の僧が、その騎士に剣を突き立てて突進した。
「ぐああああああああああああ!」

 騎士が恐怖のあまり叫んだ。そして、叫んだ瞬間に死んだ。
「伯爵!」
 残った騎士が、伯爵を守った。
「けけけけけけ!」
 と、僧たちは奇声を上げた。
「こいつら、人間じゃないぞ!」
 伯爵が言ったとき、僧たちは騎士に襲いかかった。
「うおおおおおおおおおお!」
 ネコットも剣を振った。
「おのれ! 騎士の名誉にかけて、わしは恐怖の叫びなど上げんぞ!」
 伯爵が、傷ついた体を起こし、剣を構えた。
 そこへ、僧が剣を突き立てようとした瞬間、ネコットが割って入る。
「うけけけけけけけ!」
 僧たちが不気味に笑いながら伯爵とネコットを囲んだ。


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