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「で、どうするのだ……?」
魔法教会の暗い地下礼拝堂へアブラック三世がどなりこんできた。
数人の司祭が王の前にひざまずく。
「この国をどうするつもりだ!?」
アブラックはさらに声を上げた。
まるで、自分の権威を確認するかのように、この魔法教会のなかでどなりちらした。
「国王の思いのままに……」
と、司祭たちは形だけの儀礼的な口調で言った。
「そんなセリフを聞きに、わざわざ教会まで出向いたんじゃない!」
アブラックはイラついた。
「あなたの言葉と行動が国をつくってゆきます」
「あなただと! それが王に向かって言う言葉か!」
「これは……失礼いたしました、国王さま」
司祭たちには感情がなかった。
いや、国王の権威など彼らは屁とも思っていなかった。
現実にこの国を動かしているのは教会なのだ。
だが、アブラック三世は、なんとか自分の権威をここで示さねばならなかった。
「わたしの娘に手をだすな! わたしの騎士団に手をだすな!」
教会からスターシアを守りたかった。そして、教会が王宮騎士団を実験の材料にして、不死身の戦士をつくろうとしているのをやめさせたかった。
「いいかげんにして下さい……」
突然、若い司祭が言った。
「なにっ!」
アブラックの顔色が変わった。
「この国は魔法教会が動かします。あなたは飾りです」
アブラックは、そこまで王の権威を軽く見られていたことがショックだった。
「あなたの立場は、魔法教会が守りますから、ご安心ください」
「……わかった」
小さくつぶやいて、王は魔法教会を立ち去った。
そして、自分の部屋にもどると、どっかりと椅子に体をあずけ目を閉じた。
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(……スターシア、生きのびろよ)
と、アブラックは心の中で願った。
父としても王としても、なにもしてやれなかったが、だが、唯一、自分がこの国にいることで、いつか魔法教会を追放するチャンスになればいいと考えていた。
美しい海に囲まれ、海と生きる人々の国シーアスは、いつしか富と欲望の国に変わりつつあった。
魔法教会が、人々の欲望をつくり出したのだ。
「人間は自由なのだ。自由に生きよ! 豊かさを求めよ! 快楽を求めよ! 豊かさと快楽のためになら、なにをしてもゆるされるのだ!」
と、魔法教会は説く。
人々は、自分のためにのみ生きるようになっていた。
他人を助けることは、愚かなことだ。
常に、他人と比較してそして押しのけて生きるようになっていた。
シーアスの国は腐りはじめていた。
「この国をなんとかできるのか……」
と、アブラックはつぶやいた。
「いつか、この国を救う希望が現れることを願いたい」
アブラック三世の目は、まだ死んでいなかった。
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