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ICON 新二都物語カルビサーガ 第50話

「行け、行け、行け!」
 カルビの体のなかにカッと燃え上がるものがあった。
 スターシアとウキウキのふたりが馬に乗っている。
 カルビは、その横を並んで走っていた。
(魔法教会を一発なぐりつけてから逃げればいいさ)
 魔法教会の力なんてたいしたことないと思わせれば、味方も出てくるかもしれないと思った。それには、いきなりなぐる。カルビなりの計算だった。
「スターシア! いきなり魔法教会をなぐる! いいな!」
「わかった!」
 スターシアが答えた。
「カルビは乱暴でいいね!」
 ウキウキが言った。
「はははは。ありがとうよ! だがな、ちっとは考えているんだぜ!」
 カルビは、ナラヤーナの樹の下に馬を止めさせた。
「さあ、ここに馬をつないで、あとは歩きだ」
「ちょっと待って……」
 スターシアがあたりを見回した。
 一緒に立ち上がった王宮騎士のカルナックと、この樹の下で待ち合わせの約束をしていたことを思い出した。
「……やっぱり、カルナックは……」
 スターシアは悲しい気持ちになった。
「スターシア……」
 と、ウキウキがスターシアのそばにすりよった。
「なあに?」
「えへへ……あのさ、あんたの願いを叶えてあげようか?」
「えっ?」
「魔女と契約をすれば、叶えてあげられるんだけど」
「契約?」
「しっ! カルビにはないしょだよ!」
「カルナックを助けて」
 と、ついスターシアは言ってしまった。
「いいよ!」
 ウキウキがにっこりした。
「助けられるの!?」
「うん。でも契約だよ」
「どんなことでもするわ」
「じゃあ、願って。思うことを願って、契約しますと言って」
「…………契約します」
 スターシアが目をつぶって、つぶやく。
「世界の悪魔と魔女の前に、契約をもって人間の願いを叶える。グラヴィエス・デラ・ブロングロウ……」

 ウキウキが天に向かって両手をかざし、呪文を唱えた。
 いきなり、天空に黒雲がわき上がった。
 パリッ!
 と、雷鳴がとどろく。
「な、なんだ!?」
 カルビが驚いて、ふりかえる。
 ウキウキがスターシアに右手をかざしていた。
「あっ! ウキウキ!」
 と、カルビがかけよった。
 パリッ! パリパリッ!
 雷がスターシアに向かって落ちた。
 ドーーーーーーーーン!
 ものすごい音がした。
 爆発だった。
 モクモクと黒煙が上がった。
「スターシア!」
 カルビは叫んだ。


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