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スターシア姫とカルビとウキウキを乗せた馬が、国境線を山側に疾走していた。
突撃部隊はもう追ってこなかった。
「あの連中は、なんだ!?」
カルビが叫んだ。
「王宮騎士団の突撃部隊!」
前で手綱をにぎっているスターシアが顔を横に向け、カルビに向かって大声をあげた。
「王宮騎士団か……」
「そう」
「な、なんだって!? なんで姫さまが王宮騎士団に襲われるんだよ!」
もっともな疑問だった。
「…………」
スターシアが言いよどんだ。
「あは〜ん。なるほど! やつら裏切ったな! 反乱軍だな!」
「違うの……反乱を企てたのはわたしなの……失敗しちゃったけど」
「な、なんだって!」
カルビは二度びっくりした。
「まあ、いろいろあるのよ。きっと」
と、カルビの背中におんぶしたようなかっこうのウキウキが口を挟んだ。
「そんなのんきな話じゃねえぞ! シーアスの姫が反乱を起こしたんだぜ! こりゃおもしれえ! 最高だ! ガハハハハハ!」
カルビは、シーアスのごたごたが愉快だった。スターシアのこころの痛みなど考えてみることもなく大笑いしてしまった。
スターシアが、ガッと手綱を引いて馬を止めた。
カルビがつんのめる。
ウキウキもつんのめる。
「なにすんだよ!」
「なにすんだぁーーーーっ!」
同時にふたりが叫んだ。
「降りて!」
スターシアがきびしい顔で言った。
「な、なんだよ。いきなり!」
「わたし、もどるわ!」
「ちょっと待てよ! いまもどったら、つかまえて下さいって言ってるようなもんだぜ」
「やっぱり、わたしだけが逃げるなんてできないわ! みんなのためにも!」
「女の子がひとりでなにができるんだよ!」
「できなくてもやるの! 魔法教会をつぶさなくちゃシーアスは……」
「おまえ偉いな。なんだかわかんないけど、そのおまえの情熱みたいなもの……それがビシビシ伝わってくる……ちょっと感動しちゃったな……」
と、カルビがめずらしくまじめな顔をした。
「そんなんじゃないよ……もうどうしようもないから……わけわかんなくなっちゃったから……とにかくぶつかってさ、死んじゃおうかなって……」
スターシアが、思わず胸の内を吐き出した。
それを言ったら、涙が出た。
緊張の糸が切れた。
どんなにつっぱっていても女の子だ。
国を相手に反乱を起こすという重圧に耐えるには限界がある。
「泣きな。それですっきりしろよ。でもさ、弱虫になっちゃ、魔法教会が喜ぶだけだぜ」
「うん」
そのとき、カルビの言葉にスターシアは素直にうなずけた。
「ウキウキ手伝うよ!」
と、ウキウキは妙にニコニコ顔だった。
彼女は、スターシアの魂を契約しようと思っていた。
この落ちこぼれ魔女は、それなりに計算しているらしかった。
「仲間を増やしていけば魔法教会をぶっ潰せるさ!」
「うん!」
どうも、カルビの言葉には人を元気づける力があるようだった。
「ねえ。いきなり魔法教会になぐり込めば!」
ウキウキがにっこりした。
「おまえ、大胆だな。やつら姫が逃げたと思ってるからな。油断してるかもな。おもしれえ!」
いたずらっ子のようにカルビがぺろりと舌をだした。
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