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ICON 新二都物語カルビサーガ 第48話

「ちょっと、待て!」
 と、カルビがウキウキの肩を抱いて樹の枝に身をふせる。
 タタッ、タタッ、タタッ!
 馬が樹の下にやってきた。
「えっ!」
 小さくカルビが声を上げた。
 馬にまたがっているのはスターシア姫だった。
 スターシアの思いつめた表情にカルビはドキッとした。
(何があったんだろう……)
 カルビは思った。
 そのとき、後方から土煙とともに、鉄騎馬の軍団が駆けてきた。
 スターシアが振り返る。
 動揺したスターシアの馬が、ヒヒヒヒ〜〜ンといななき激しく前足で地面を蹴った。
「どう!」
 と、スターシアが手綱を引いて馬をおさえる。
 鉄騎馬の軍団は、王宮騎士団のなかでも最強とうたわれる第一二突撃部隊だ。
 黒一色の甲冑に、赤でXIIという文字が描かれている。
 総勢30騎。
 スターシアの前で、ぴたりと止まる。
「何用か!?」
 スターシアが威厳を持って問う。
「これは、姫さま。ごきげんうるわしく」
 先頭の部隊長が口を開いた。なんともいやったらしい、下品な口のききかただった。
「あいさつは無用。いまは私用である。さがってよい!」
「さがってよい……誰に言ってるんでしょうかね?」
「…………ぶ、無礼な!」
「だって、姫さまは、反乱軍を指揮したんですよ。まあ、言ってみればおたずね者ですよ」
「…………」
 スターシアは剣に手をかけた。

「おっと、いかに剣の使い手だって、われわれを相手に勝てるなんて思われちゃ困りますな」
 部隊長はせせら笑った。
 スターシアのからだに、カッと血が逆流した。
「いや、ここで、なぶり殺しにしてもいいんですけどね。それじゃつまらんですよ。どうです? 馬から下りて、地べたに頭をこすりつけて、助けてくださいませってお願いしてくれませんかね。姫さまにいつか、そうしてもらいたいなって思ってたんですよ。へへへ……」
「それ以上わたしを侮辱すると許しませんよ!」
「あれ、誰が許さないのかな? あんたの味方はもういませんよ。なんせ反逆罪なんだからね。大変なことしたんですよ。わかってます? 磔にされて死刑です」
「…………」
「さあ、そこに、頭つけて、お願いしてよ。そーすれば、まあ、命だけは助けましょう」「そんなことするくらいなら死にます!」
 と言い終わらぬうちに、抜く手を見せぬ早業で、スターシアは部隊長に斬りつけた。
「ぬおっ!」
 部隊長は間一髪、からだをのけぞらせ剣をかわした。だが、右腕を斬られた。
 スターシアは「はいっ!」と馬の腹を蹴る。
 バラバラと、第12突撃部隊がスターシアを囲む。
「殺せ!」
 部隊長が命令した。
 ジャラッと全員が剣を抜いた。
 そのとき、樹の上から、カルビが飛び降りてきた。
「えっ!?」
 スターシアは驚いた。
「この野郎!!」
 と、カルビは鉄騎馬から鉄騎馬へと飛び移り、騎士たちを蹴り落とした。
 騎士たちは、重い甲冑をつけているのでカルビの接近戦にあわてた。
 カルビは、何人かを蹴り落とすと、タッと、スターシアの馬に飛び移り「行こう!」と言った。
「あたしもーーーーっ!」
 と、ウキウキも飛び乗ってきた。
 3人を乗せた馬が猛烈な勢いで走り出した。


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