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「ちょっと、待て!」
と、カルビがウキウキの肩を抱いて樹の枝に身をふせる。
タタッ、タタッ、タタッ!
馬が樹の下にやってきた。
「えっ!」
小さくカルビが声を上げた。
馬にまたがっているのはスターシア姫だった。
スターシアの思いつめた表情にカルビはドキッとした。
(何があったんだろう……)
カルビは思った。
そのとき、後方から土煙とともに、鉄騎馬の軍団が駆けてきた。
スターシアが振り返る。
動揺したスターシアの馬が、ヒヒヒヒ〜〜ンといななき激しく前足で地面を蹴った。
「どう!」
と、スターシアが手綱を引いて馬をおさえる。
鉄騎馬の軍団は、王宮騎士団のなかでも最強とうたわれる第一二突撃部隊だ。
黒一色の甲冑に、赤でXIIという文字が描かれている。
総勢30騎。
スターシアの前で、ぴたりと止まる。
「何用か!?」
スターシアが威厳を持って問う。
「これは、姫さま。ごきげんうるわしく」
先頭の部隊長が口を開いた。なんともいやったらしい、下品な口のききかただった。
「あいさつは無用。いまは私用である。さがってよい!」
「さがってよい……誰に言ってるんでしょうかね?」
「…………ぶ、無礼な!」
「だって、姫さまは、反乱軍を指揮したんですよ。まあ、言ってみればおたずね者ですよ」
「…………」
スターシアは剣に手をかけた。
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「おっと、いかに剣の使い手だって、われわれを相手に勝てるなんて思われちゃ困りますな」
部隊長はせせら笑った。
スターシアのからだに、カッと血が逆流した。
「いや、ここで、なぶり殺しにしてもいいんですけどね。それじゃつまらんですよ。どうです? 馬から下りて、地べたに頭をこすりつけて、助けてくださいませってお願いしてくれませんかね。姫さまにいつか、そうしてもらいたいなって思ってたんですよ。へへへ……」
「それ以上わたしを侮辱すると許しませんよ!」
「あれ、誰が許さないのかな? あんたの味方はもういませんよ。なんせ反逆罪なんだからね。大変なことしたんですよ。わかってます? 磔にされて死刑です」
「…………」
「さあ、そこに、頭つけて、お願いしてよ。そーすれば、まあ、命だけは助けましょう」「そんなことするくらいなら死にます!」
と言い終わらぬうちに、抜く手を見せぬ早業で、スターシアは部隊長に斬りつけた。
「ぬおっ!」
部隊長は間一髪、からだをのけぞらせ剣をかわした。だが、右腕を斬られた。
スターシアは「はいっ!」と馬の腹を蹴る。
バラバラと、第12突撃部隊がスターシアを囲む。
「殺せ!」
部隊長が命令した。
ジャラッと全員が剣を抜いた。
そのとき、樹の上から、カルビが飛び降りてきた。
「えっ!?」
スターシアは驚いた。
「この野郎!!」
と、カルビは鉄騎馬から鉄騎馬へと飛び移り、騎士たちを蹴り落とした。
騎士たちは、重い甲冑をつけているのでカルビの接近戦にあわてた。
カルビは、何人かを蹴り落とすと、タッと、スターシアの馬に飛び移り「行こう!」と言った。
「あたしもーーーーっ!」
と、ウキウキも飛び乗ってきた。
3人を乗せた馬が猛烈な勢いで走り出した。
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