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ICON 新二都物語カルビサーガ 第46話

 丘の上にあるナラヤーナの樹は巨大だった。
「でっかい樹だな」
 樹の枝に腰掛けたカルビが言った。
「ああ、このくらいの樹だと、樹齢1000年くらいかな」
 虎のナムルが答えた。
「しかし、ひどい目にあった。変身しやがったものな。あの王宮騎士団! 不死身だぜ、ありゃ!」
「不死身の王宮騎士団か……」
「ナムル……なに、考え込んでるのさ?」
「うむ、チョコレート・パフェを食いそこねた……」
「なんだよ!」
「冗談は置いといて……不死身の王宮騎士ってのは、絶対におかしい」
 ナムルが腕組みをした。
「なにが?」
「王宮騎士ってのは剣に生きてる連中だ。プライドも高い。自分から、魔法をかけられるなんてことはしない」
「呪われちゃったんだろ?」
「そんな間抜けじゃなかろう……仮にも王宮騎士だぞ?」
「どうゆうこと?」
「やつら、喜んでなかったか? そーいう風に見えなかったか?」
「ああ……」
 カルビは、道具屋で王宮騎士に襲われたときのことを思い返した。
「なあ……」
「だから?」
 と、ナムルの顔をのぞき込んだ。
「魔法教会ってのはクセ者だぞ」
「魔法教会ね」
「ああ。たぶん、あの王宮騎士団は、死体だったのさ。はじめからな」
「えっ!?」
「死体にして、再生する。そして、魔法教会の思いどーりに動かす」
「あれが、死体?」
「たぶん。魂がない状態さ。だから不死身だ」
「はじめから死んでりゃ、不死身だけど……そんな魔法があるのか?」
「いいや。死体を再生するのは難しい……体が元のままではいられない」
「あいつら、なんだか呪文を唱えてた。そんで怪物に変身したぜ」
「かなりやべえな。シーアスの国は……」

「きっとさ、シーアスの国民を全部死体にして、魔法教会の思いどーりに動かしたりしてね」
 カルビがあっけらかんと言った。
「おまえさ、けっこうするどいかもしれんよ」
「なにが?」
「魔法教会の真の狙いだったりしてな……」
「まさか……冗談を言ったのに、なにマジな顔してんだよ、ナムル!」
「いいや。冗談じゃねえかもな……」
「じゃあ、それでいいよ。だけど、俺たちには関係ないじゃん!」
「そーか? じゃあ、なぜ、俺たちを待ち伏せしてたんだ?」
「さあ? スターシア姫をさらったからかな? 怒ってんのかな、俺のこと」
「違う! なんかあるんだ……魔法教会が、俺たちを狙う理由が……」
「考えすぎだよ!」
「なに、ゴチャゴチャ言ってるの?」
 と、いままで眠っていた魔女のウキウキが起きあがった。
「ナムルがさ、俺たちを魔法教会が狙ってるって……」
 カルビが説明した。
「ふ〜ん。死体を再生するのは高度な合成魔法が使えないとできないけどね」
「合成魔法?」
 カルビが聞き返した。
「そうだよ。昔の魔女が作ったらしいけど、いまは使えるヤツはいないよ。第一、それを使うには〈マナ〉がいるもの」
「なんだ? マナって?」
「なるほど! 山の神の秘宝〈マナ〉を狙ってるのか……」
 と、ナムルが割り込んだ。


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