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スターシア姫が王宮騎士クラブで行った小さな演説が騎士の反乱を決起させた。
これは後に〈スターシア姫の五月革命〉として歴史に残されている。
だが、この反乱はシーアスの平和につながらなかった。
さて、話をもどそう。
演説は野火のように騎士たちの心のなかに広がっていった。
スターシアの言葉が〈騎士の剣は国を守るもの〉という騎士憲章第一条を思いださせ、騎士たちは剣に生きる者としての誇りに、あらためて気づきはじめていた。
この革命の中心的人物は、バッカス伯爵だった。
彼は、本来王家につながる血筋にありながら、剣に生きた男だった。酒を愛し人を愛し剣を愛し国を愛していた。
革命は、魔法教会に気づかれないよう、夜に準備されることになった。
だがこのとき、王宮騎士の結束力と誇りは、すでに地に堕ちていたことに彼らは気づいていなかった……。
教会の夜の礼拝。
ロウソクの火が無数にゆれる祭壇の前で、司祭はおごそかにたずねた。
「いつだね?」
その声は、どんな抵抗もゆるさない響きをもっていた。
「明日の夜……」
若い騎士の瞳はどんよりとにごっていた。
司祭はやさしくうなずいて、
「この者に神の祝福あれ」
と、言い。メディセンに目配せをした。
メディセンは、その騎士を地下の研究室に連れてゆき、合成魔法をほどこした。
こうして、魔法教会は、反旗をひるがえした革命騎士たちを取りくずしていた。
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次の日の夜はミサが行われない日だった。
なま暖かい風が吹いていた。
夜の闇にまぎれて、一気に革命騎士の一団が、教会を囲んだ。同時に、王宮内や港や兵器庫や城門などにも数名の騎士がはりついた。
そして、陸・海軍の要人宅には、位の高い騎士が説得に向かう。
タタタタタタタッ!
教会の壁のぐるりに武装した騎士が立った。指揮を取るのは、バッカス伯爵。
数は100人。
「教会を占拠し、フルブ司祭を捕らえる」
バッカスが短く言って、サッと手を挙げた。
それが合図だった。
教会正面の大扉を破り、第一団が突入した。
祭壇の上にある、黄金のシンボルが、突入した騎士たちを見おろしている。
一瞬、シンボルが震えたように見えた。
ただ、それだけのことで、突入した騎士はからだの自由が奪われた。
「うぐぐぐ……」
剣を抜こうとした腕が、石になった。
「神の恐れを知らぬ者に天罰が下る」
フルブ司祭の声が、高い天井に反響する。
突然、祭壇の前に舞台がせり上がった。
「ぐあああああああ!」
舞台の上には、怪物があらわれた。
その怪物は、メディセンが合成魔法によって作り出したものだった。
「ぐあああああああ!」
怪物が、騎士たちに襲いかかる。
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