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「誤解してもらっちゃ困るな」
「しかし、伯爵!」
と、若い王宮騎士がツバを飛ばしながら詰め寄った。
「そうムキになるな」
「これがムキにならずにいられましょうか! あなたの提案は反乱です!」
「そう、反乱だ。わっははは」
伯爵は豪快に笑った。
緊迫したその場の空気が一瞬ほぐれた。
王宮騎士の四天王と呼ばれるバッカス伯爵は五〇歳になっていた。
髪には白いものが混じっていたが、その人格と剣の腕は、多くの騎士たちを惹きつけていた。
「魔法教会を敵にまわしては……」
「勝ち目がないと言うのか。ははは」
「はい」
この王宮騎士クラブにいる誰もが、うなずいた。
「第一、王は魔法教会派ですぞ!」
「そうだ! 王を守る王宮騎士団が、王に剣をむけるようなマネなどできん」
と、若い騎士に中年の騎士が同意した。
「王が国を滅ぼすとき、われらは国のために市民のために剣を取ってもいいのではないか?」
伯爵の言葉に、その場にいた者がハッとして、顔を見合わせた。
「われらの剣は、何のための剣だ!」
伯爵は言葉をつづけた。
「しかし……市民の多くも魔法教会に……」
苦しそうに若い騎士が言った。
「そう……だが」
と、伯爵が言ったとき、
深紅のカーテンを割って、スターシア姫が現れた。
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「父は、もうこの国の王にふさわしくありません」
「姫は、あの三人の騎士が死んだ原因が教会にあるのではと疑っておられる」
と、姫のうしろにひかえたカルナックが、一同を見渡した。
表面上は平静を保っていたが、だがカルナックの気持ちはゆれていた。
(本当に、魔法教会を敵にまわせるのか……? しかし、ここはチャンスだ。もし姫の気持ちを惹きつければ王に……)
「姫は、われらの御旗となられるぞ!」
伯爵の声に、カルナックはハッと我を取り戻した。
(伯爵にいいとこを持っていかれたら立場がないぞ)
カルナックの頭が計算した。
「わたしは姫を命にかえて守り抜く! 姫こそがこの国を導く者だ!」
と、歌うようにカルナックは言った。
(そうだ! 姫がこの国を救う……こころの底から信じよう。信じれば、嘘も真にかわる)
「わたしは、この国が魔法教会から脱会することを願う! 教会が国の政治に口を出すことはゆるせない。ましてや、王を選ぶ権利などはない!」
スターシア姫の声が凛と響いた。
あらためて言うまでもないことだった。
だが、そのことを、いったい何十年、口に出せなかったことか。
「そうだ、教会に王を選ぶ権利はない!」
カルナックが拳を突き上げた。
「そうだ!」
若い騎士たちが賛同した。
(なかなかやるな……だがくせ者だ……)
その光景を見つめながらバッカス伯爵がニヤリと笑った。
こうして、魔法教会への反旗がひるがえった。
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