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気持ちの中に、にがい思いはしまっていた。そういうものを表面に出さないことが長生きをする方法だと、アブラック三世は知っていた。
ヘラヘラと若い女の子のパンツを追いかけ、ダジャレ好きの王を演じることで、彼は王の座にとどまれたのであった。
無能な王は、魔法教会にとっては便利な道具なのだ。
「あははははははは! 逃げちゃダメよ……」
と笑いながら、アブラック三世はククリを追いかけまわしていた。
ククリが少女らしい無邪気な声で笑いながら、部屋の中を逃げ回る。
「純白のパンツを見せなさいって命令してるでしょ!」
「つかまえたら見せてあげるも〜〜ん」
「こら、まて〜〜〜〜〜〜〜〜!」
アブラック三世は、部屋を横切り中庭に出たところでククリの足にタックルした。
「きゃっ!」
柔らかい芝の上に、ふたりがもつれてころがった。
「もう、王さまったら……」
と、ククリが甘ったるい声を出したとき、部屋をノックする音が聞こえた。
「なんじゃ!」
あからさまに王は不機嫌な声で返事をした。
「失礼します」
と、入ってきたのはスターシア姫と王宮騎士のカルナックだった。
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ふたりは、部屋を横切り、中庭まで進んだ。
スターシア姫は、ククリのすらりとした生足に抱きついているアブラックをあからさまに軽蔑する目で見つめた。
振り返ったククリは、心臓を矢で撃ち抜かれたような衝撃を感じた。
ククリの大きな瞳の中いっぱいに、長身のカルナックの姿が映っていた。
「あ……」
小さな花びらのような唇から、吐息がこぼれた。
ドキドキドキドキ。
心臓の鼓動が早くなった。
ドキドキドキドキ。
ククリは、耳までカッと赤くなるのを感じた。
恋だった。
この瞬間、ククリはカルナックに恋をした。
ばかばかしいと思うかもしれないが、恋はあるとき突然やってくる。
恋に理由も過程もいらない。
アブラック三世が立ち上がり、
「用件はなんだ?」
と聞いた。
ククリは、腰が抜けたようにカルナックを見つめていた。
「さあ」
と、カルナックがククリに手をさしのべた。
カルナックにすれば、それは、女性に対していつも行う普通の行為だった。
言ってみれば、礼儀のようなものだ。
その手を、
「無礼者! わしのモノに手を出すな!」
と、アブラック三世が勢いよくはねあげた。
「失礼いたしました。おゆるしください」
カルナックが頭を下げる。
そのとき、
「父上!」
と、スターシアが割って入る。
「な、なんだ!?」
いつもと違うスターシアの勢いにアブラック三世は、一瞬ひるんだ。
「町外れで王宮騎士三人の死体が見つかりました」
と、スターシアは事務的に言った。
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