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「がるるるるるるる!」
魔物に変身したウキウキの赤い目の底には敵意があった。
「冗談じゃねえぞ……かわいい魔女が化け物になっちゃった」
カルビが振り返ったとたん、
「びょえええええええええええ!」
と、ナムルが逃げる体勢をつくったので、
「おい!」
とカルビはナムルのしっぽをつかまえて引きとめた。
「や、やめろ……魔女にゃ、俺の術が通じねえんだよ」
いきなり弱気なナムルだった。
「がおおおおおおお!」
魔物化したウキウキは、真っ赤な口を耳までグウワッと開けて吠えた。
その声は、あやかしの森中に響きわたった。
だが、カルビの体には、カッとするような戦闘意欲が燃え上がらなかった。
魔物の正体がかわいい魔女ウキウキだからだろうか。
言い忘れたが、魔物に変身したウキウキは、なんと三メートルはあろうかという大きさになっている。
それでも、カルビは男の子として、女の子に暴力で立ち向かうことに抵抗があった。
しかし! この場は、そんなことを考えているヒマなどなかった。
案の定、カルビは魔物ウキウキにつかまった。
「がるるるるるるるるるるるる!」
魔物ウキウキがカルビを握った。
「やめろーーっ!」
カルビが叫ぶ。
バキバキバキ!
木をブッ倒しながら凶暴にカルビをふりまわす。
「うわああああ!」
カルビは失神しそうになった。
「あああ……」
ナムルは後ずさりをする。そして、ダッと逃げた。
「がおおおおおおお!」
魔物ウキウキがナムルを追っかけながら、そこらじゅうの木を引っこ抜きぶんなげてきた。
「な、なんとかしろ! ナムル!」
と、カルビが叫ぶ。
「お、おめえがなんとかしろ! カルビ!」
「わかりにくいヤツだな、おまえは……」
「なにがじゃ!」
「強いなら、あくまで強い! ってのが常識だろ! なんで、魔女を怖がるんだよ〜〜!」
カルビはウキウキに握られている。なんとか、その手を振りほどこうともがいた。
「うるせえ! 何でも食えるけど、ピーマンだけはキライ! ジンマシンがでるほどキライってことだ!」
そんなことを話している場合ではなかった。
状況は、緊迫していた。
後方に迫る魔物ウキウキは、さらに凶暴になっていた。
「さっさと飛べ! それでこいつにぶち当たれ!」
「だ、だめなんだ! この魔女の森のなかじゃ、俺の力が使えないんだ!」
「どーして!」
「しらねえよ!」
そのとき、魔物ウキウキがカルビを振りまわした。
「うぐっ!」
地面にたたきつけられ、カルビが腹筋に力を入れて苦痛に耐える。
「ば、ばか! ええい、こんちくしょう!」
ナムルがもうどうにでもなれという気持ちで振り返り、
「くらえっ!」
と、いきなり口から火を吹いた。
だが、火は、チョロリとしか出ない。
やはり、魔女の森ではナムルの力は全開しなかった。
「ぐおおおおおおおお!」
魔物ウキウキが、おかえしとばかりに口から火を吹いた。
「ひっ!」
ナムルがあせる。
「がおおおおおおおお!」
今度は、魔物ウキウキが口から吸い込んだ炎を吐き出した。
「うあちっちっ!」
炎をあびたナムルが飛び上がった。
そのとき、カルビは、魔物ウキウキの胸にある赤いボタンに気がついた。
「な、なんだ?」
カルビは自由になる左手をのばして、そのボタンを押した。
キュルルルルルルルル!
へんてこな音をたてて、魔物ウキウキは、ふたたびかわいい魔女にもどった。
ドタッ!
と、カルビが地面に落ちる。
「いやだ〜〜〜! 変身解除ボタン押しちゃった!」
ウキウキが叫んだ。
「変身解除ボタン……」
カルビがあきれる。
「ざけんな! おどかしやがって……」
ナムルが、ホッとしたようにため息をもらした。
「てめえ、食い殺してやろうか!」
と、いきなり態度の大きくなったナムルがウキウキにせまる。
「ひい……」
とウキウキが首をすくめた。
「おいおい! 待てよ!」
カルビが間に入った。
「止めるんじゃねえ!」
ナムルがキレかかっていた。
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