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ICON 新二都物語カルビサーガ 第28話

 そうして、しばらくナムルは天空を飛んだ。
「あれだ! どーーも、いやな空気だね、まったく!」
「降りろよ!」
 カルビがナムルの耳を引っぱる。
「いてててて! わ、わかったよ。降りるよ。そこ、急所なんだから、あんまり引っぱるなよ!」
「早く!」
 と、カルビがナムルの耳をつねる。
「イテテテテ! こんちくしょーーっ!」
 ナムルがいきなり急降下した。
「バ、バカ!」
 カルビが叫んだときには、すでに遅い。
 ドーーーーーーーーーーーーーーーン! と、ナムルは森の中に突っ込み、そのまま地面に顔面から激突した。
「てててててて……」
 カルビは放り出され、大きな木にブチ当たって、したたかに頭を打った。
「バカ虎! ったく!」
「いてえええええええ! なんてことしやがんだ!」
 ナムルが起きあがった。
「なんてことしやがんだじゃねえだろう!」
 カルビが怒った。
「おめえに言ってんじゃねえや!」
「じゃ、誰に言ってるんだ!」
「わかんねえけどよ、俺はちゃんと降りようと思ったんだ」
「ん?」
「なのに、コントロールがきかなくなったんだ! 急に……誰かが……」
 と言いかけて、ナムルはハッとした。
「魔女のしわざか?」
「たぶん」
 ナムルが薄暗い森の中をぐるりと見回し、ゴクリっとツバを飲み込んだ。
 その音が、意外にも大きくて、ナムルは「うわっ」と自分で驚き声を出した。
(ナムルをこんなにビクビクさせるなんて、魔女って、そんなにおっかないんだろうか……)
 口に出すとナムルのプライドを傷つけそうだから、カルビは心のなかでつぶやいた。
 そのときだ!
 森の木々がワサワサとゆれた。
 森全体が動いているようにも思えた。
「出た……」
「出てない!」
 カルビが、キッと唇を噛んで身構える。
 生暖かい風が、ビュウと吹いた。
「ほらほら……」
「しっかりしろ! ナムル!」

 突然、二人の前にピンクの煙がドドンパッ! と巻き上がる。「うわあああああああああああああ!」
 ナムルが腰を抜かす。
「よ〜〜こそ! あやかしの森へ!」
 と、キンキン声で煙の中から登場したのは、年齢一一歳くらいの超かわいい女の子だった。
「あたし、魔女のウキウキです。よろしく」
 と、女の子は、ふたりに礼儀正しく頭を下げた。

(これが……ナムルがビビッていた、魔女なのか……)
 カルビは、意外な展開に目を丸くして、とりあえず、
「こんにちは」
 と、頭を下げた。

 


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