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「なんで、俺も行くわけ!」
〈あやかしの森〉へ歩きながら、カルビが口をとがらす。
「いいじゃねえかよ。相棒だろう!」
ナムルがカルビの腕を引っ張って、ズンズンと歩く。
「やめろ! 腕がとれちゃうだろ! このバカ虎!」
「おうおうおう! なんだと、だれがバカ虎だってんだ〜。おめえな、よーく聞けよ! どこの世界に、こんなりっぱな翼を持って、お空をパタパタ飛んでいる虎がいますかってんだ! いたら、お目にかかりたいもんだ!」
「なに、頭に血のぼってんだよ!」
「だって、そーじゃねえか! えっ! おめえは、シーアスであぶねえとこだったんだ。この俺がビュンと飛んで助けに行ったんだぞ! それに、あのヘナチョコ騎士にやられそーになった時だって、そーじゃねえか! えっ、それがなんだと? 俺が、魔女のところに行くってときに、なんで俺も行くわけ? って言いぐさはないよ!俺は、怒ちゃうよ!」
なんだか、ナムルの口調がぞんざいになっていた。
「じゃあ、行かなきゃいいじゃんか」
「そ〜は、いかないでしょ! 俺にも山の神としてのプライドってもんがあるでしょ!」
「は〜ん。魔女が怖いんだろ?」
「だろう? って人の気持ちを探るのはいい趣味じゃないでしょ!」
「怖いんだ!」
「決めつけないで欲しいな!」
「ほんとのこと言えよ」
「……怖いよ」
「やっぱり怖いんだ。魔女が」
「怖いさ! 魔女だよ! 魔女!」
と、ナムルが身震いした。
「まったく、そんな大きな図体して、なんで魔女なんかにブルっちゃうかな?」
「アホ! 鍋で、グツグツと煮るんだぞ! カエルとかトカゲとか! そんで、食うんだ! ああ、考えただけで、ゾッとするぜ!」
「ナムルがさ、本気になれば、魔女なんか、チョイチョイじゃないの?」
「カルビよ。おまえは、ほんとに、ものを知らねえな」
「なにが?」
カルビがムッとした。
「いいか。魔女はな、特別な食い物を食っているんだ。だから、俺の能力を封じ込めることができるわけさ。魔法教会より怖い相手なんだよ。わかるかな」
「ふ〜ん。だから、魔法教会につぶされないで生きてきたんだ」
「そうさ。魔法教会のやつらだって、何回も魔女狩りをやったんだ。だけど、手に負えないのさ」
「おっしゃ! じゃあ、行こう! 魔法教会に負けなかった、その魔女たちを見てみたいや」
カルビが言葉に力をこめて言った。
「やめろ。悪いことは言わない。そんな簡単な気持ちで魔女に会うな……」
「おい! ナムル! おまえが行こうって言ったんだぞ!」
「そーだっけ?」
「怒るよ! ほんとに!」
「そう! そうね。魔女に盗まれた宝石を取り返して、あそこの主人にまたチョコレート・パフェをたくさん食べさせてもらうんだった! よっしゃ! 行くぞ、カルビ! 背中に乗れ!」
「しょうがねえな、まったく」
と、カルビはナムルの背中に乗った。
バサッ! バサッ! と、ナムルがはばたいた。
大きな体が、軽々と浮かびあがる。
「さあ、魔女とケンカだな!」
うれしそうにカルビが言った。
「ちがーう! 話し合いだ」
と、ナムルが叫んだ。
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