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ICON 新二都物語カルビサーガ 第26話

「ぐおおおおおおおおおおおお! こりゃ、うめえ!」
 ペチャ、ペチャ、パクパク、ズリズリ。
 ナムルが30センチのチョコレート・パフェを夢中で食べる。
「ほんとうに、おまえは、パフェが好きなんだな」
 カルビが、その食べっぷりにあきれた。
「ああ、うまかった」
 と、ナムルがニコニコ顔。
「すげえ……おふくろのチョコレート・パフェを一人で全部食べたやつってのは、はじめてだ。さすがに虎の化け物だな……」
 主人が感心した。
「おうおう、俺はな、化け物じゃねえ。ナムルっていう山の神だ」
「山の神さまですか……それが、なんで壺の中からお出ましになったんですか?」
「いろいろ、事情があってな……」
「はあ」
「おう、そーだ! 勝手に上がり込んで、パフェまでごちそうになって済まなかった。俺は、強盗じゃねえんだから、なんかお礼をしなくちゃな」
 ナムルが腕組みをして主人を見た。
「山の神さまの腕組みってのは、なんともたのもしいですな」
 と、店の主人が持ち上げるから、単細胞のナムルはさらに胸を張る。
「たおれるなよ」
 カルビがチャチャを入れたりする。
「こりゃ、どーも、なんですな。山の神さまが、わざわざあたくしの家においでになったなんてのは、なんともいいもので、こーう何か、お願いしてみたくなりますな」
 うまい! 相手が単細胞と見抜き、こう持ち上げて、さらりとお願い事を持ち出すとは、さすがに商売人!
「ああ、いいぜ。なんでも言ってくれよ」
「おい、いい気になってんじゃないぞ」
 と、カルビがナムルの横っ腹をつねる。
「いてて。こら! おめえは、黙ってろ! ことを分けて、この家のご主人が俺に頼みたいことがあるってんじゃねえか。あんなうめえパフェを食わせてもらったお礼もしないで、はい、さよならってわけにゃいかねえ。そうだろうが!」
「じゃあ、お願いします」
「ああ。いいぜ! なんだい?」
「この先をずっと行きますと〈あやかしの森〉がございます」
「あやかしの森ね」
「はい。そこに女どもがおりまして」
「女か? そりゃ、美人か?」
「はい、美人でございます」
「いいね。で、話をつづけろよ」
「その女どもに、あたくし家宝の宝石を盗まれまして、困っております」
「おいおい……女に盗まれただと。そいつは、どうも間抜けだな」
「しかし、女と申しましても、あいつらは、ただの女じゃございません。魔女でございます」
「ほう……そりゃ、ごっついな。魔女がまだ生き残ってやがったのか?」
「あの森にだけ、生き残っているのです」
「宝石を取り返せってんだな。この俺に」
 ナムルがちょいと考えた。
「もう、取り返して下されば、生涯あなたにはチョコレート・パフェを無料でさしあげますです」
 間髪入れず、主人が言った。
「おっし! まかせときな! 俺が取り返してやるぜ!」
 ナムルがドンと胸をたたいた。
「ありがとうございます!」
 主人が深々と頭を下げた。
「おいおい……いいのか?」
 カルビがつぶやいた。


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