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「こんちくしょう!」
カルビが壺のなかからはい出してきた。
壺の高さは三〇センチくらいしかない。
そこから人間がはい出したのだ。
びっくりしたのは、壺の持ち主だ。
「う、うわあああああああああ〓」
化け物でも見るように、大きく目をむいて、床にひっくりかえった。
「どっこいしょ!」
と、今度はナムルがはい出てきた。
ナムルは黒い翼をもった虎だ。
目の前の壺から、そんなものが出てきた、失神するくらい驚くはずだ。
気丈な主人は、とにかく失神はまぬがれ、それでも三メートルくらい後方に飛び退いて頭をかかえ、
「た、助けてください……」
と、神さまに祈った。
この男はネイタスの町はずれにある道具屋の主人だ。
「ここはどこだ?」
「どこだろうなあ?」
カルビの問いにナムルがのんびりと答えた。
「なにしたんだよ!」
「ちょっと待てよ。あんときおまえが、斬られそうになったから、俺が空のかなたに飛ばしたんじゃねえか!」
ナムルが牙をむいた。
「そうだった。思い出したぞ。あのスターシア姫を助けに来たニヤケた野郎、すっげえ、剣が早かったな」
「俺の体を強力な剣の力でしばりやがって。それに、もうすこしで、おまえの首が飛んでたんだぞ」
「ああ……でも、なんで壺から出てきたんだ?」
「そんなこと知るか! あわてて飛んだからよ。出口なんか気にしてられるか!」
「あれ? あそこで、泡吹いてるおじさんがいるぜ」
「ここがどこだか聞いてみろよ」
「ねえ。おじさん、ここはどこ?」
カルビが笑顔で聞いた。
「あわわわわわわわ……」
男は、口がまわらない。
「おい、なんか食い物ないか?」
と、ナムルが聞いた。
「お助けください……あたしを食うなんて……」
「あはははは。大丈夫だよ。この虎はね、人間は食わないの。それより、チョコレート・パフェが好きなんだよ」
カルビがやさしく言った。
「ああ……チョコレート・パフェ! あ、あります! はい、あります! おふくろの作った特製のがあります!」
と、男がヨロヨロと台所へはっていった。
「ここどこだ?」
「そんなこと、どーでもいい! 特製のチョコレート・パフェだ! おい!」
ナムルが舌なめずりをしてニコニコ顔になった。
「でもさ、あの娘……かわいかったな」
「あれ? おまえ、色気づいたな」
「ち、ちがうよ!」
カルビがムキになって否定した。
「はい! これが特製のチョコレート・パフェでございます!」
と、道具屋の主人が台所から持ってきたのは、なんと高さが三〇センチはあろうかというパフェだった。
いやあ、そのみごとなこと!
甘いものが嫌いな人なら、卒倒しそうなしろものだった。
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