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ICON 新二都物語カルビサーガ 第21話

 スターシアは、深い眠りからさめた。
 にぶい光が、窓の外から部屋のなかに差し込んでいた。
「ここ……あたしの部屋……」
 ベッドから体を起こさないで、スターシアは顔だけ動かし部屋のなかを探るように見た。
 何かが違っていた。
 いや、すべてが違って見えた。
 自分の部屋なのに、部屋に拒絶されているように思えた。
(気のせいかしら……)
 と、思った。
「わたし……」
 と声を出してみた。
 その自分の声すら遠いものに感じて、スターシアは驚いた。
「な、なに?」
 ドキドキしていた。
 変わったのは部屋ではなかった。変わったのは自分だということがわかった。
(でも、なにが……)
 考えをめぐらせた。
(カルビ……)
 そうだ、あの少年だ。
 自分に憎しみをぶつけてきた少年。
 シーアスの王女として生まれ、ずっと、まわりの優しさに包まれていたスターシアは、はじめて、憎しみの感情というものをぶつけられたのだ。
 ハッ! とするものがあった。
 人は、みな違う感情をもっているのだと、いま気づいた。
 そのことがもしかしたら、自分を変えたのかもしれないと思った。
「カルビ……」
 今度は、口に出して言った。
「……カルビ……カルビ……はははは」
 スターシアは笑った。
 そして、カルビと過ごした二日を思い出した。
「そうね。はじめは怖かったけど、あんなに充実した時間はなかったかも」
 天井を見つめながら、スターシアはつぶやいた。
「姫さまなんて……なんだか、つまんないな……」
 と、スターシアはため息をついた。
「おやおや。これは、姫さまが、そんな事を言ってはいけませんな」
 部屋の入り口に長身のカルナックが微笑みながら立っていた。
「あら、カルナック……いつの間に!」
「ノックをしたのですが、返事がないので、失礼とは存じましたが、心配でしたのでのぞかせていただきました」
「ちょっと、ぼんやりしてました」
「おかげんは、いかがです?」
「うふ……だいぶいいわね」
 カルナックがまるで医者のような口調なのがおかしかった。
「よくお休みでしたから」
「そう」
「では、安心しましたので、これにて」
 と、カルナックが一礼して振り返る。
「ねえ。カルナック?」
「はい」
「おもしろいことないかしら?」
「はあ?」
「ワクワクすること」
 と見つめるスターシアの目がキラキラと輝いていた。


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