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スターシアは、深い眠りからさめた。
にぶい光が、窓の外から部屋のなかに差し込んでいた。
「ここ……あたしの部屋……」
ベッドから体を起こさないで、スターシアは顔だけ動かし部屋のなかを探るように見た。
何かが違っていた。
いや、すべてが違って見えた。
自分の部屋なのに、部屋に拒絶されているように思えた。
(気のせいかしら……)
と、思った。
「わたし……」
と声を出してみた。
その自分の声すら遠いものに感じて、スターシアは驚いた。
「な、なに?」
ドキドキしていた。
変わったのは部屋ではなかった。変わったのは自分だということがわかった。
(でも、なにが……)
考えをめぐらせた。
(カルビ……)
そうだ、あの少年だ。
自分に憎しみをぶつけてきた少年。
シーアスの王女として生まれ、ずっと、まわりの優しさに包まれていたスターシアは、はじめて、憎しみの感情というものをぶつけられたのだ。
ハッ! とするものがあった。
人は、みな違う感情をもっているのだと、いま気づいた。
そのことがもしかしたら、自分を変えたのかもしれないと思った。
「カルビ……」
今度は、口に出して言った。
「……カルビ……カルビ……はははは」
スターシアは笑った。
そして、カルビと過ごした二日を思い出した。
「そうね。はじめは怖かったけど、あんなに充実した時間はなかったかも」
天井を見つめながら、スターシアはつぶやいた。
「姫さまなんて……なんだか、つまんないな……」
と、スターシアはため息をついた。
「おやおや。これは、姫さまが、そんな事を言ってはいけませんな」
部屋の入り口に長身のカルナックが微笑みながら立っていた。
「あら、カルナック……いつの間に!」
「ノックをしたのですが、返事がないので、失礼とは存じましたが、心配でしたのでのぞかせていただきました」
「ちょっと、ぼんやりしてました」
「おかげんは、いかがです?」
「うふ……だいぶいいわね」
カルナックがまるで医者のような口調なのがおかしかった。
「よくお休みでしたから」
「そう」
「では、安心しましたので、これにて」
と、カルナックが一礼して振り返る。
「ねえ。カルナック?」
「はい」
「おもしろいことないかしら?」
「はあ?」
「ワクワクすること」
と見つめるスターシアの目がキラキラと輝いていた。
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