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ICON 新二都物語カルビサーガ 第12話

 黒バラの咲く〈王の館〉のなかで、アブラック三世は、新しくやとい入れた少女を見つめていた。
「なんと、素直な目をしているんじゃ。名は?」
「はい。ククリです」
「さあ、こっちに来なさい」
「はい王さま」
 ククリはガラス細工のようにナイーブに見える少女だった。
「幾つになる?」
 膝の上のククリの顔をのぞきこみながら、アブラックはたずねた。
「はい。一四になります」
 すこしうつむいて返事をしたククリの、なんとも恥じらいのある横顔に、アブラックの心臓はわしづかみ状態だった。
「で、パンツの色は……」
 と、つばを飲んで、アブラックが言ったとき、ふわりと風がそよぐように立ち上がったククリが、窓べりに歩き、くすくすと笑った。
「な、なにがおかしい?」
「だって、王さまは、わたしの恥ずかしいことをお聞きになりたがっています。それは、わたしにとって、死ぬほど恥ずかしいこと。でも、あなたは、まるで、今日の夕食のおかずでも聞くように たずねています。それが、いやなのです」
「何がいやだって!?」
「わたしのことを大切に思って下さるのなら、どんなことにでもお答えいたします」
「大切に思うよ」
「いいえ、大切に思っていません」
「思っている」
 アブラックの前をふわりと歩くククリの匂いが、アブラックの鼻先をかすめた。
 それは、とても、甘くせつない香りだった。
 まだ、成熟していない、青い果実のような……。
 遠く、忘れてしまった、アブラックの青春を思い出させる香りであった。
「ククリ……欲しいものは、なんでもあげよう」
「ほんと!」

 ククリの顔がパッ! と明るくなった。
「ああ、ほんとうだ」
「じゃあ、このシーアスが欲しいわ」
 ククリは、まるでそこらにあるおもちゃをねだるように、この国を欲しいと言ってのけた。
「この国が欲しいだと……はははははは。なんて、おもしろい女だ、気に入った!」
「ずっと、そばに置いてくださいね。王さま」
 と、ククリは自分から王さまの膝にのり、王さまの首に両手をまわして甘えた。
「パンツの色は?」
「ふふ……」
 ゆっくりと、ククリはスカートの裾をたくしあげた。
 ちらりと見えるパンツは、純白であった。
「白……」
 アブラックは、つばを飲んだ。
 純白のパンツは、永遠の処女性の証だった。無意識に純白のパンツをつける女が、アブラック三世の好みだ。それは、アブラックの幼児性のあらわれでもある。
「ククリ」
 と、アブラック三世は、ククリのきゃしゃな体を抱きしめた。


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