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ナムルの目がギラリと光った。
どんな勇敢な騎士も、このナムルのひとにらみで、たいがいは腰を抜かすはずだった。
だが、目の前のスターシアは涼しい顔で立っていた。
逆に、動揺したのは、ナムルの方だった。
(な、なんだ。この女は!? ナメられてたまるかよ)
ガオーーーーーーッ!
と、ナムルは威嚇して吠えた。
「わたしは、シーアスの王アブラックの娘スターシアです。この町で暴れることは、わたしが許しません! 立ち去らないのであれば、このわたしが相手をします!」
スターシアは、ナムルの背中にまたがったカルビをキリリとにらんだ。
(な、なんだと……この俺を、あからさまに無視するってか!?)
ナムルははらわたが煮えくりかえった。
「おんなが、偉そうに言うなよバーカ」
カルビが言った。
「たっ!」
瞬間、抜く手も見せぬスターシアの剣がカルビを襲った。
カルビは、ヒョイとちょっと首を動かしただけで、スターシアの剣をかわした。
ナムルはニヤニヤと笑っている。
「へへへ。ムダだよ。あんな程度じゃ、あいつにかすり傷ひとつつけられんよ」
「なに!」
ナムルの軽口に、スターシアの顔色が変わった。
スターシアは剣には自信があった。その剣先を軽々と、薄汚い少年にかわされたことで気持ちが高ぶっていた。
「スターシアさま」
起きあがったネコットが、スターシアの前に立ちはだかった。
「けっ! 今度は、女みてえな男かよ」
カルビが、ぺっ! と、つばを吐いた。
「俺は、あんたをさらいに来たんだ」
「ふざけるなよ!」
ネコットが剣を横にはらった。
ガキッ!
と、ナムルが、その剣に噛みついていた。
バキッ!
「うわっ?」
と、ネコットがうしろに下がった。
剣はこっぱみじんに噛み砕かれていた。
「やれ! ナムル!」
カルビが命じた。
ガオオオオオオオオ!
と、吠えたナムルが、ネコットを横になぎ倒し、あっさりとスターシアの剣もへし折り、その体を抱きかかえた。
「はなせ!」
スターシアが暴れる。
「スターシアさまーっ!」
とネコットが叫んだ。
ナムルの黒い翼が、おおきくはばたく。
グーーーーーンと、上昇した。
「はなせーーーーーっ!」
スターシアがナムルの太い腕をたたいた。
「ここで、はなせば、落ちて、死んじまうぜ」
ナムルが前足にかかえたスターシアをにらんだ。
「あはははははは! こりゃ、いいぜ! シーアスの姫さまをいただいた!」
カルビが高々と笑った。
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