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ICON 新二都物語カルビサーガ 第11話

 ナムルの目がギラリと光った。
 どんな勇敢な騎士も、このナムルのひとにらみで、たいがいは腰を抜かすはずだった。
 だが、目の前のスターシアは涼しい顔で立っていた。
 逆に、動揺したのは、ナムルの方だった。
(な、なんだ。この女は!? ナメられてたまるかよ)
 ガオーーーーーーッ!
 と、ナムルは威嚇して吠えた。
「わたしは、シーアスの王アブラックの娘スターシアです。この町で暴れることは、わたしが許しません! 立ち去らないのであれば、このわたしが相手をします!」
 スターシアは、ナムルの背中にまたがったカルビをキリリとにらんだ。
(な、なんだと……この俺を、あからさまに無視するってか!?)
 ナムルははらわたが煮えくりかえった。
「おんなが、偉そうに言うなよバーカ」
 カルビが言った。
「たっ!」
 瞬間、抜く手も見せぬスターシアの剣がカルビを襲った。
 カルビは、ヒョイとちょっと首を動かしただけで、スターシアの剣をかわした。
 ナムルはニヤニヤと笑っている。
「へへへ。ムダだよ。あんな程度じゃ、あいつにかすり傷ひとつつけられんよ」
「なに!」
 ナムルの軽口に、スターシアの顔色が変わった。
 スターシアは剣には自信があった。その剣先を軽々と、薄汚い少年にかわされたことで気持ちが高ぶっていた。
「スターシアさま」
 起きあがったネコットが、スターシアの前に立ちはだかった。
「けっ! 今度は、女みてえな男かよ」
 カルビが、ぺっ! と、つばを吐いた。
「俺は、あんたをさらいに来たんだ」
「ふざけるなよ!」
 ネコットが剣を横にはらった。
 ガキッ!
 と、ナムルが、その剣に噛みついていた。
 バキッ!
「うわっ?」
 と、ネコットがうしろに下がった。
 剣はこっぱみじんに噛み砕かれていた。
「やれ! ナムル!」
 カルビが命じた。
 ガオオオオオオオオ!
 と、吠えたナムルが、ネコットを横になぎ倒し、あっさりとスターシアの剣もへし折り、その体を抱きかかえた。
「はなせ!」
 スターシアが暴れる。
「スターシアさまーっ!」
 とネコットが叫んだ。
 ナムルの黒い翼が、おおきくはばたく。
 グーーーーーンと、上昇した。
「はなせーーーーーっ!」
 スターシアがナムルの太い腕をたたいた。
「ここで、はなせば、落ちて、死んじまうぜ」
 ナムルが前足にかかえたスターシアをにらんだ。
「あはははははは! こりゃ、いいぜ! シーアスの姫さまをいただいた!」
 カルビが高々と笑った。


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