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「ぐおおおお……」
霊峰山の地中深くに眠っていた神の虎ナムルは、七年目に目覚めた。
「ちくしょう! まだ、腹のなかが重い! 人石を飲めば、一〇〇〇年寿命がのびるって聞いてたのに、いってぇどーいうことだ! いてててて」
ナムルは、痛む腹をかかえこんだ。
「うんにゃ、そーだ! こーいうときこそ、天空仙人にたのもう!」
思い立つと、地中からぬけだし、一気に霊峰山のてっぺんに向かって飛んだ。
霊峰山は、昔から、神秘の山として崇められた場所だ。
その頂は、いつも雲におおわれ、いったいどれほどの高さなのかわからなかった。
ナムルの黒い翼が、バサッ! バサッ! とはばたく。
上昇にともなって急速に気温が下がり、ナムルの翼に氷の結晶が付着した。
「ぐるるるる……」
腹が、また、痛くなってきた。
「いててて! こんちくしょう!!」
痛みをこらえるため、やけくそになって羽ばたいた。
翼が折れるほど羽ばたいた。
バサバサッ!
「いててて!」
バサバサッ!
「いててて!」
バサバサッ!
「いててて! 限界だ!」
そのとき、急速に、ものすごい激痛が腹のなかを襲った。
「ぐおおおおおおおお!」
バサバサッ!
ブオッーーーーーーーーーッ!!
大音響が山の側面にこだました。
強烈な放屁だった。
その屁の勢いで、グーーーンと加速したナムルは、霊峰山の頂上へドサッと着地した。
ナムルの腹の痛みはまだおさまらなかった。
その時、
「おほほほほ! 屁をこいて、加速するとは……笑っちゃうねえ」
と白いローブを着て、金のリングを頭上に乗せた、老人があらわれた。
「痛てて……お、お前は……誰だ?」
「天空仙人じゃ」
「腹が痛てえ……」
「ほう」
「人石を飲んだ」
「それは、困ったのう」
「あ、あんたが本当の天空仙人なら……この痛みをなんとかしてくれ……」
「何をくれるのかのう?」
「ああん?」
「助けたら、おまえは、わしに何をくれる?」
「ざけんな! 痛てて……」
「じゃあ、そのままじゃな」
「わ、わかった! なんでもやる!」
「そうか!」
言ったとき、天空仙人はズバッ! と両手をナムルの腹に突っ込んだ。
「ぐえええええええええ!」
「がまんせい!」
「ぐえええええええええ!」
「ほうれ!」
仙人は、両手に石になったカルビをかかえていた。
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