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「あははははははははは! これは、笑ってしまう! ひさびさにおもしろい! こ、こんな小僧が……あはははは……わが無敵のシーアスに対して滅びてしまえと言い放つとは……あはははは……なんという冗談だ! ああ神よ!」
黒い鉄騎馬の馬上で、黒鎧をつけた警備隊長が、笑いころげた。
その警備隊長を、檻の中の少年が赤い憎しみの目でみつめていた。
まだ幼さの残る少年は、いままさに、処刑場に運ばれてゆくところであった。
「コンニャロー! 笑うな! おれは、人に笑われるのが大っ嫌いだ!」
少年が鉄の檻にかみつき、鉄の棒をガタガタとゆすった。
「小僧!」
と、警備隊長がムチをふった。
ビュン! と空気を引き裂く音がした。
ムチが生き物のように鉄の檻に巻きついた。
バリバリバリ!
ムチが青白く光り、電気を放った。
「うあああああ!」
少年は、檻の中にブッ倒れた。
「がははははは!」と笑った警備隊長が、ムチをクルクルと巻き取り、
「さっさと処刑して酒でも飲むぞ!」
と、部下に命じた。
鉄騎馬に引かれた檻が、海に突き出た桟橋に運ばれてゆく。
空がどんよりと、墨を流したように重くのしかかってきた。
それは、海の国シーアスの行く末に不吉な影を落としているようだった。
桟橋の先端に鉄の檻が運ばれた。
「投げろ!」
と、警備隊長が命じる。
台座がかたむき、いきなり鉄の檻がすべる。
ドッボーン!
大きな水しぶきをあげて、鉄の檻が海中に沈む。
突然、海面にゴボゴボと白い泡が猛烈にふきあげた。
「下がれ!」
警備隊員があわてて桟橋からひきあげた。
ザバーーーン!
巨大な海獣ピガルがヌメヌメと光る体をくねらせて、海面に姿をあらわした。
処刑とは、この海獣に食わせることだった。
「まったく、残酷きわまりねえな」
と、若い水夫が大きなため息をついた。
「じゃあ、あそこへ飛び込んで助けたらどうだ、ゲンドウ」
老水夫が、皮肉っぽく言った。
「ざけんな!」
ゲンドウと呼ばれた若い水夫が荒っぽく答えた。
「かわいそうだとか残酷だとかちゅう同情はな、あそこで処刑を楽しんでるヤツらとたいして変わりねえんだよ。自分は安全なところにいるから言えることじゃねえか」
そう言われると、ゲンドウには返す言葉がなかった。
その時、低くたれこめた雲の間から、
ガオオオオオオオ!
という強烈なおたけびが響きわたった。
「な、なんだ!?」
ゲンドウが上空を見上げた。
「げっ! 虎だ!!」
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