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「どうやって生きたらいいか……教えて欲しいもんだ」
怪物のようにでっかい水夫が、丸太のように太い腕をグルングルン回しながらとなりの老水夫をのぞき込んだ。
「バカヤロウ! 黙って、教会の命令にしたがって生きりゃいいんだ! 自分の考えなんて捨てろ、生き方は教会が決めてくれる」
老水夫が、その若い水夫をたしなめた。
「ふん……」
若い水夫は、不服そうに鼻を鳴らした。
そのとき、
ゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!
ゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!
と、魔法教会の鐘がふたつ鳴った。
「おい! あの鐘は……公開処刑の鐘……」
「これは、めずらしい。教会に反逆するヤツの面が見てみたいな」
と、若い水夫が日頃のうさを晴らすようにニヤリと笑った。
ジェノサイドは、この金の国と呼ばれる〈シーアス〉の国教である。
海とともに生きるこのシーアスにとって、海の悪魔どもから守ってくれる教会は、神の力と等しく絶対のものであった。
そして、もうひとつ、教会に特別な者であると認められた場合、鉛を金に変える法力により、莫大な富を得ることができた。
金の国シーアスの富と安全と繁栄は、まさに、魔法教会によってもたらされていた。
だから、魔法教会の教えに反することは、即座に、すべてを失うことであり、国王の地位さえも、教会の力の前には無力であった。
王の認めた教会が、いつの間にか王位の権力よりも強大化してしまったのである。
海をのぞむ広場には、下級商人たちの白い天幕が連なっていた。
通称、泥棒市とも呼ばれ、正規のルートを通らない盗品やまがいものが堂々と売られている場所だった。
だが、そうゆうものにまじって、時折、どこか遠い国の秘宝や秘薬などを見つけることもできた。
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「公開処刑だぜ!」
「こりゃ、見なくちゃな!」
「子どもだってよ!」
「魔法教会の神像につば吐いたんだとさ!」
広場に集まった人々のなかに、熱気と興奮と、ほんのすこしの恐怖があった。
公開処刑は、広場から海に突き出た桟橋の上で行われる。
鉄騎馬が鼻から蒸気を吹き出しながら、鉄の檻を引いてきた。
その檻のなかに、一二、三歳の少年が座っていた。
「ありゃ、シーアスの子どもじゃねえぞ……」
若い水夫がつぶやいた。
「ああ、そうだ。山の子ども……銀の国の子どもだ!」
老水夫が答えた。
そのとき、少年は檻をつかんで、はげしくゆすり、
「シーアスなど滅びてしまえ!!」
と叫んだ。
その目は、赤い憎しみに燃えていた。
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