| タイトルコール |
「連続ラジオドラマ、ミラージュオブサーガ。〜黒の円舞曲〜その1」 |
| 語り |
「すべては砂に覆いつくされていた。愛や、夢や、希望。どんなに輝くそれらも、すべて砂に沈む。ここはハピアス。はるか彼方の過去。〜砂の黙示録第4節より〜」 |
| コレット |
「ここは帝国の北の外れ。小さなクレーター集落が集まるサンドバレー。ここには集落を束ねる若き王がいる。その名をジェームス。いま彼は、このサンドバレー王国を帝国に負けない王国にしようという理想に燃えていた。
私は王国の庭師ムスタキの娘、コレット。私はジェームス王が大好き。まだ1度、ほんのちょっと、横顔を拝見しただけなのだけれど……でも、そのとき、この小さな胸がキュンとときめいたのです……きっと、これは恋だと思います……」 |
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BGM:円舞曲(次第に小さくなって) |
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| ジェームス |
「今宵は、なんとよい舞踏会だ。大勢の王族が集まってきている……」 |
| 侍従 |
「はああい。招待状を差し上げた方々は、みなお越し下さいました、国王陛下。あそこで踊っておられるのが、グラ帝国の次の王たる、パロン・グラ皇子であらせられます」 |
| ジェームス |
「ほう……。なんとも優雅な方だな。だが踊りは上手だが、はたして戦場ではいかがなものか……」 |
| 侍従 |
「はい。たしかに……しかし戦場には第2皇子ザッパ様や第3皇子リオン様がいらっしゃいます。帝国は盤石でございますよ」 |
| ジェームス |
「そうか……我が王国、サンドバレーはまだまだひ弱だな」 |
| 侍従 |
「それはこれから……陛下がよいお后様をめとられて、強いお子たちを儲けられ、強い王国をお築きになればよろしいのでございます」 |
| ジェームス |
「うん! そうしよう。いつか帝国に負けない強い王国にしてみせよう」 |
| グレイ |
「……国王陛下」 |
| ジェームス |
「おお、魔術師グレイではないか。久しいな」 |
| グレイ |
「はっ」 |
| ジェームス |
「何をしておった?」 |
| グレイ |
「諸国を周っておりました」 |
| 侍従 |
「これ、グレイ。お前をこの舞踏会に招待した覚えはないぞ!」 |
| グレイ |
「これは心外な。侍従殿はお忘れですかな。私は陛下直属の魔術師でございますよ」 |
| 侍従 |
「それは過去のことじゃ。すでにその任は、解かれたはずだ!」 |
| ジェームス |
「じい。よいではないか。今宵はよき日だ。争いごとは似合わぬ……」 |
| 侍従 |
「ま、は、は、は、はい」 |
| ジェームス |
「楽しむがよい、グレイ」 |
| グレイ |
「はい」 |
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BGM:円舞曲(一時的に大きくなって次第に小さくなる) |
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SE:水の流れる音 |
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| グレイ |
「あー、暑い……これ、そこの女。王宮の庭先で何をしておる?」 |
| コレット |
「あ、はい……わたしは王宮の庭師ムスタキの娘でコレットと言います。庭の外れの、あそこの木の向こう側にある小屋が私の家なのです」 |
| グレイ |
「ほう。お前がムスタキの娘か……この庭でよく走り回っていたなぁ……」 |
| コレット |
「あのう……あなたは?」 |
| グレイ |
「はっはっはっ、魔術師グレイ。この王家のお抱えであったが、ある事情で、諸国を旅していた」 |
| コレット |
「ああぁ、思い出した」 |
| グレイ |
「あははは」 |
| コレット |
「グレイ様ですね。私にお花の首飾りや、魔法の子猫をくれた」 |
| グレイ |
「うんうん、思い出してくれたか……で、今は……ほう、恋をしているのだな? どれ、その透き通った瞳を見せてごらん。う〜ん、これは大層な恋だ……叶わぬ恋だなぁ……」 |
| コレット |
「だめです! 人の心を盗み見しては。これは誰にも言えない私だけの密かな恋なのですから……」 |
| グレイ |
「その恋、叶えて見せようか!」 |
| コレット |
「えっ! まさか……ほ、本当ですか。グレイ様」 |
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BGM:円舞曲(ふたたび大きくなって) |
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