| タイトルコール | 「連続ラジオドラマ。ミラージュオブサーガ。〜砂の魔法使い〜その8」 |
| 語り | 「すべては砂に覆いつくされていた。愛や、夢や、希望。どんなに輝くそれらもすべて砂に沈む。ここはハピアス。はるか彼方の過去。〜砂の黙示録第4節より〜」 |
| | |
| | SE:船のエンジン音 |
| | |
| セレン | 「えっ!?」 |
| ヤクルタ | 「誰でも、試練など望んでいなのではないだろうか……できるなら安穏(あんのん)と生きていたいと思うはずだ……ふっ、それですべてがうまくいくんならね……だが、どうーも、そうじゃない。好むと好まざるとにかかわらず、必ず人は生きてゆくことで苦悩するのだ……人は、経験と情報によって未来を予測する唯一の動物なんだ……不幸にもね」 |
| セレン | 「不幸にも……なの? 未来を予測することが?」 |
| ヤクルタ | 「ああ、多分ね〜……未来を予測しなければ、いつでも今の幸せを感じられるんじゃないだろうか……ふっ、もっと未来は幸せがあるに違いない、そう思うから、だから、現状に満足できない。そこに不幸があるとは思わないか? 試練とは、人が未来を見ようとするから訪れるものなんだ」 |
| セレン | 「でも! 未来を見ることは、やる気を起こさせるんじゃない?」 |
| ヤクルタ | 「それは何かをやっている人間のみに許される事だと思うし、今やっている人間は、たぶん未来を見ない。今を見つめてるんだよ……だから試練などない!」 |
| セレン | 「そうなの……」 |
| ヤクルタ | 「ふっ、君は今、試練を考えるときじゃない。まずは、魔法教程をすべてマスターすべきなのだ。その時、次に何をやるべきかが目の前に現れるはずだ。今を充実させねば未来はただ幻……まるで砂漠の果ての蜃気楼のようにね!」 |
| セレン | 「……わかった。あたしお兄ちゃんのとこに帰る……それで魔法教程を全部ちゃんとマスターする!」 |
| ヤクルタ | 「うん、君はいい魔法使いになれるよ……」 |
| | |
| | SE:船のエンジン音が大きくなる |
| | SE:ドアが開いて閉まる音 |
| | |
| セレン | 「ただいま〜!」 |
| ジンジン | 「あっ、セレン! ど〜こ行ってたんだよぉー!」 |
| セレン | 「あ、ごめんなさい、お兄ちゃん」 |
| ジンジン | 「ごめんなさいじゃないよ、まったくもう……心配したぞ」 |
| セレン | 「あたしね……南方騎士団のサザンクロスのヤクルタって人に会ったんだよ!」 |
| ジンジン | 「えっ? サザンクロスの……ヤクルタ……はっ、そりゃ伝説の大魔法使いだぞ! 魔法衣を脱ぎ捨て、放浪の旅に出たっていう……」 |
| セレン | 「えぇ!? いっ、そ、そんな偉い魔法使いだったの?」 |
| ジンジン | 「うんうん。で、どこにいるんだ?」 |
| セレン | 「誰が?」 |
| ジンジン | 「いや、ヤクルタさんだよ!」 |
| セレン | 「町の入口で、あたしを船から下ろして……それで「さよなら、また、会えるといいね。君ならきっと大魔法使いになれるよ」(ヤクルタの声を真似て)って言って……んー、それで南の方角に……そうだったんだ、偉〜い魔法使いだったんだぁ……」 |
| ジンジン | 「なぁなぁ、サインとかもらったか?」 |
| セレン | 「ううん」 |
| ジンジン | 「バっカだな〜」 |
| セレン | 「あ、バカって言った!」 |
| ジンジン | 「だってそうじゃないかぁ……大魔法使いに会えるなんて機会はそうあるもんじゃないんだぞ!」 |
| セレン | 「それなら、大丈夫!」 |
| ジンジン | 「うっ、なにが?」 |
| セレン | 「あたしが大魔法使いになった時に、お兄ちゃんにサインしてあげるから……」 |
| | |
| | BGM:ほのぼのとした感じの音楽 |
| | |
| ジンジン | 「……ふっ、セレン」 |
| セレン | 「なぁに?」 |
| ジンジン | 「ふっ、お前は天才かもしれない」 |
| セレン | 「ありがとうお兄ちゃん……さて、魔法教程の第33課程。勉強、勉強!」 |
| | |