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ICON デビルBOX 第101回 第3章 〜明日への扉〜 最終回
タイトルコール「連続ラジオドラマ、デビルBOX 第3章 〜明日への扉〜 最終回」
語り「ごきげんよう、明けそめる世紀のあけぼのよ!
 ほかのものが呪おうとかまわない。
 ぼくは恐れることなく、この歌をおまえに捧げよう。
 アウグストゥスのローマ再建のとき、若者や生娘の唱歌隊のホラチウスが与えたという、あの歌に似た調べを。
 サタンの狂熱のともしびが消え、すべての争いが終焉したあとの、静寂と調和を歌にしよう。(ベンジャミン・コールの手帳より)」
  
 BGM:メインテーマフェードアウト
 SE:車の急ブレーキのあとぶつかる音
 BGM:『イマジン』
  
海人(独白)「おれは、車にひかれそうになった。なにか、おれの背中をひっぱる力で、かろうじて助かったような気がする。そうゆうこともあるんだ。きっと。なにか見えない力ってやつが……これは、きっとあかりの力に違いない。おれの恋人、あかり。……あいつはさっき死んだ。急性白血病だった。病院にかけつけたときには、もうなにもしゃべってくれなかった。あんなにたくさんあいつとしゃべったことが、遠い過去のことのように感じる」
  
あかり 「……海人」
海人  「あかり?」
  
海人(独白)「おれはあかりの声を聞いた。たしかに、聞こえた。いってしまうあかりの魂の声だったんだろうか。最後の別れを、おれに言いたかったんだろうか……街の雑踏のうねりが遠ざかる。日常が、非現実的な、まるで生きてるのか生きていないのかわからない、妙な感覚だ」
  
 SE:心臓の音
  
死神  「見えるかね。フェイ」
フェイ 「あれは?」
死神  「あれが今度、おまえさんが入る肉体だ。"つなしあかり"って名前だ」
フェイ 「つなしあかり……」
死神  「あの肉体に入れば、あんたの"フェイ"という記憶はだんだん薄れる。そして、あんたは"あかり"として生きていくことになるんだぁ。覚悟はいいね?」
フェイ 「死神さん……」
死神  「なんでしょうか?」
フェイ 「アンクと、また会えますよね?」
死神  「"アンク"……えーと、それは〜と(ノートをめくって)えー、あれないねぇ? あぁー、これだ! あ、あぁー、はいはいはい! このあいだ転生した、魔界の者だな。おまえさんと同じだね……ほう〜、恋人同士だったのぉ〜。うう〜ん、なんだか面白そうだねぇ〜。魔界の恋人同士が転生して、人間界で再び恋人同士になる。くぅーっ、それもよかろう、うん。ただし、魔界のときの記憶はないよぉ〜! 人間として、短い時間だが逢瀬(おうせ)を楽しむことだ。人間の寿命は短い。だが、短いから新鮮なのだよ。人生がねぇ。さあ、行きなさい」
フェイ 「……はい!」
  
 SE:工事現場の音
  
死神  「う、あ〜、あれでいいのかい?」
ランディ「ああ……」
死神  「おまえさん、何回、転生してるんだ?」
ランディ「あぁ、もう数えるのはやめた」
死神  「へっ、へへへへへっ。でも、なんで管理官にならなかったんだ?」
ランディ「さあな。そんな役職がキライだから。自由にしていたいから。まっ、そんなことはどうでもいい」
死神  「この地球に命を宿した最初の魂たちは、人間界と魔界と天界の3つにわかれた。そのどこに所属するかは、管理者の定めるところとなった。ランディ、あんたは、管理者になる資格があったはずだ」
ランディ「そうだったかなぁ?」
死神  「あの、魔界の姫様も、そうゆう魂だ」
ランディ「……知らねぇよ」
死神  「へっ、まあ、いいさ。さっ、あんたの魂もそろそろ寿命だ。転生させなければならない。希望は、あるかね?」
ランディ「どこでもいいさ」
死神  「そうかい。じゃあ、あの姫様のそばに、いかせてやろう」
  
 SE:雷鳴とどろく
  
あかり(独白)「記憶が薄れていくと、いきなり暗闇が広がり、からだが浮き上がった。その暗闇には、目をこらすと無数の輝きがあった。輝きのひとつを見ようと思うと、その輝きが、意識の中に拡大した。輝きは、星々であった。あれは木製(木星)、あれが火星、そして地球……あぁっ、なに、あたし落下してゆく。自分の意志ではどうしようもない、特別な力に引き寄せられてる……目の前に女の子がいる。かわいらしい女の子。その子が"フェイ"と名乗った。名乗った瞬間、あたしと"フェイ"が混じり合った……」
  
海人  「うそだっ! まじかよ由里子!!」
由里子 「ホントよ! 病院からあかりの遺体を運びだそうとしたとき、急に、あかりが泣き出したの! それで、病院大あわてで、あかりが"海人"って何度も呼んでたわ。あんた、先に帰っちゃったから……」
海人  「行くよっ、病院に!」
  
 SE:雑踏の音
  
花田  「おいっ、困(る)んだよ。こんなところでウロチョロされちゃあ」
由里子 「あら花田さん、おひさしぶりね」
花田  「あちゃっ。はっ、"花田さん、おひさしぶりね"じゃないだろう、ホントに! 天界の辣腕検事、"ジャスティ"が人間のからだを借りて、こんなとこでなにやってんの?」
由里子 「"あかり"って子を見逃すために」
花田  「それはおれの仕事だ」
由里子 「そうね。でも、あなた解任されたわ」
花田  「うそっ、なにそれ!?」
由里子 「さあ、天界にもどりなさい!」
花田  「いやっ」
  
 SE:雷鳴
 SE:消滅音
  
由里子 「これでいい?」
死神  「ああ〜、ありがとう」
由里子 「死神に"ありがとう"って言われると、いい気持ちがしないわ。天使としては……」
死神  「ふふっ、恩に着るぜぇ〜」
由里子 「天界と魔界の境界線問題の会議をしたいの。そろそろテーブルについてくれないかしら?」
死神  「わかった。しばし、停戦しよう」
  
 SE:雑踏の音
  
海人  「ようっ、もういいのか?」
あかり 「うん」
海人  「えへっ。でもよかった。あかりが生き返って」
あかり 「生き返って?」
海人  「ああ」
あかり 「あたし、死んだの?」
海人  「そうだよ」
あかり 「そう……それでか」
海人  「なにが?」
あかり 「ははっ。宇宙みたいなとこを漂っていたの。そこでなんか、女の子と会ったように思う……」
海人  「臨死体験っていうやつだな」
あかり 「あたし、命をもらったのかな?」
海人  「ふっ。命は誰かにもらうものだ。たとえば、おやじとかおふくろとか。そのまた両親に。そして、その両親……命は受け継がれている。人間は何100年も生きられるわけじゃないけど、魂という形で、なにか大事なものを受け継いで行くんだと思う」
  
 BGM:『サークルゲーム』
  
あかり 「たまにいいこと言うねぇ〜」
海人  「ちょっとおまえ、それどーいうことぉー? おれがバカってことかぁ〜〜〜! ぶにょぶにょ」
あかり 「わっ、や、やめてっ! 公園でなにするの!(笑いながら) バカっ、おっぱい触んな!」
海人  「やっ、いた! おまえ本気でなぐんなよぉ〜!」
あかり 「あはっ。野獣!」
海人  「うわぁー、おぉー、がおーーーっ!」
あかり 「海人〜」
海人  「おっ。なんだよ?」
あかり 「キスしようか」
  
 BGM:『サークルゲーム』が大きくなり消えていく
 BGM:『イマジン』
  
ナレーション「これは、ひとびとの忘れてしまった記憶の物語」
  

●配役/タイトルコール、フェイ、あかり:横山智佐/海人:山口勝平
/語り、ランディ、花田、ナレーション:広井王子
/死神:千葉繁/由里子:豊口めぐみ


ドラマを真剣に演じる出演者
▲ドラマを真剣に演じる出演者
●ドラマ終了後のトーク
 ドラマが終わると会場から大きな拍手がわき起こった。

 千葉さんは、「なんかわかんねぇけどすっげえ良い話だね」、「ジーンときた」と感動のコメント。

 横山さんは「やたらドラマチックでしたね」と述べ、山口さんは「終わりましたね、デビルBOX」と感慨深げな様子。

 広井さんも感想を言おうとしたが、ラジオドラマに入る前と同じでマイクを持たずにしゃべりはじめたため、またもや周りから「マイク、マイク!」と指摘を受けた。千葉さんは「さっきカムチャッカから帰ってきたばかりで、時差がボケてます」と再び広井さんをフォローした。

広井「えっ、そういうことで。えー、なんとなく12年半、こういうラジオドラマをやらさせていただきました。えー、とっても辛いこともあったしおもしろいこともありました。あのー、みなさんのおはがきをいただいて、大体、毎週火曜日に2本録るんですね。そういう風にやってきたんですね。で、えーと、月曜日に大体書いてるんですよ。で、火曜日に持ってきて書くんですけど、あの、往々にして間に合わなくて。で、走り書きで、あの文化放送(の現場)で書いてたりして。みんな、"これ、どう読むの?"とかゆってね」
山口「広井さんの手書きの原稿とかね、ありましたね」
広井「ああ、ありましたね」
山口「広井さんの(手書き原稿)はとても味があるから」
広井「いえいえいえ」
横山「まっ、今日も急いでいたんだろうな。"木星"っていう字が、あの、木で作ってある"木製"……」
一同「(笑)」
横山「あの、星の"木星"じゃなくってね。これはあの、 "by Wood"ですのような」
広井「ああ、そうね(フェードアウト)」

  ■デビルBOX未公開分
  『デビルBOX』未公開分はこちら


2007年3月24日放送マル天ダイジェストはこちら



  「これは、ひとびとの忘れてしまった記憶の物語」
 マル天の初期のラジオドラマ『火星物語』内で一貫して流された、ドラマ冒頭に流れる広井さんのナレーションの一部。その時のナレーションは「遙か遠い昔。それは人々の忘れてしまった記憶の物語」。
 
 

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