| タイトルコール | 「連続ラジオドラマ、デビルBOX 第3章 〜明日への扉〜 最終回」 |
| 語り | 「ごきげんよう、明けそめる世紀のあけぼのよ! ほかのものが呪おうとかまわない。 ぼくは恐れることなく、この歌をおまえに捧げよう。 アウグストゥスのローマ再建のとき、若者や生娘の唱歌隊のホラチウスが与えたという、あの歌に似た調べを。 サタンの狂熱のともしびが消え、すべての争いが終焉したあとの、静寂と調和を歌にしよう。(ベンジャミン・コールの手帳より)」 |
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| | BGM:メインテーマフェードアウト |
| | SE:車の急ブレーキのあとぶつかる音 |
| | BGM:『イマジン』 |
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| 海人(独白) | 「おれは、車にひかれそうになった。なにか、おれの背中をひっぱる力で、かろうじて助かったような気がする。そうゆうこともあるんだ。きっと。なにか見えない力ってやつが……これは、きっとあかりの力に違いない。おれの恋人、あかり。……あいつはさっき死んだ。急性白血病だった。病院にかけつけたときには、もうなにもしゃべってくれなかった。あんなにたくさんあいつとしゃべったことが、遠い過去のことのように感じる」 |
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| あかり | 「……海人」 |
| 海人 | 「あかり?」 |
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| 海人(独白) | 「おれはあかりの声を聞いた。たしかに、聞こえた。いってしまうあかりの魂の声だったんだろうか。最後の別れを、おれに言いたかったんだろうか……街の雑踏のうねりが遠ざかる。日常が、非現実的な、まるで生きてるのか生きていないのかわからない、妙な感覚だ」 |
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| | SE:心臓の音 |
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| 死神 | 「見えるかね。フェイ」 |
| フェイ | 「あれは?」 |
| 死神 | 「あれが今度、おまえさんが入る肉体だ。"つなしあかり"って名前だ」 |
| フェイ | 「つなしあかり……」 |
| 死神 | 「あの肉体に入れば、あんたの"フェイ"という記憶はだんだん薄れる。そして、あんたは"あかり"として生きていくことになるんだぁ。覚悟はいいね?」 |
| フェイ | 「死神さん……」 |
| 死神 | 「なんでしょうか?」 |
| フェイ | 「アンクと、また会えますよね?」 |
| 死神 | 「"アンク"……えーと、それは〜と(ノートをめくって)えー、あれないねぇ? あぁー、これだ! あ、あぁー、はいはいはい! このあいだ転生した、魔界の者だな。おまえさんと同じだね……ほう〜、恋人同士だったのぉ〜。うう〜ん、なんだか面白そうだねぇ〜。魔界の恋人同士が転生して、人間界で再び恋人同士になる。くぅーっ、それもよかろう、うん。ただし、魔界のときの記憶はないよぉ〜! 人間として、短い時間だが逢瀬(おうせ)を楽しむことだ。人間の寿命は短い。だが、短いから新鮮なのだよ。人生がねぇ。さあ、行きなさい」 |
| フェイ | 「……はい!」 |
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| | SE:工事現場の音 |
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| 死神 | 「う、あ〜、あれでいいのかい?」 |
| ランディ | 「ああ……」 |
| 死神 | 「おまえさん、何回、転生してるんだ?」 |
| ランディ | 「あぁ、もう数えるのはやめた」 |
| 死神 | 「へっ、へへへへへっ。でも、なんで管理官にならなかったんだ?」 |
| ランディ | 「さあな。そんな役職がキライだから。自由にしていたいから。まっ、そんなことはどうでもいい」 |
| 死神 | 「この地球に命を宿した最初の魂たちは、人間界と魔界と天界の3つにわかれた。そのどこに所属するかは、管理者の定めるところとなった。ランディ、あんたは、管理者になる資格があったはずだ」 |
| ランディ | 「そうだったかなぁ?」 |
| 死神 | 「あの、魔界の姫様も、そうゆう魂だ」 |
| ランディ | 「……知らねぇよ」 |
| 死神 | 「へっ、まあ、いいさ。さっ、あんたの魂もそろそろ寿命だ。転生させなければならない。希望は、あるかね?」 |
| ランディ | 「どこでもいいさ」 |
| 死神 | 「そうかい。じゃあ、あの姫様のそばに、いかせてやろう」 |
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| | SE:雷鳴とどろく |
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| あかり(独白) | 「記憶が薄れていくと、いきなり暗闇が広がり、からだが浮き上がった。その暗闇には、目をこらすと無数の輝きがあった。輝きのひとつを見ようと思うと、その輝きが、意識の中に拡大した。輝きは、星々であった。あれは木製(木星)、あれが火星、そして地球……あぁっ、なに、あたし落下してゆく。自分の意志ではどうしようもない、特別な力に引き寄せられてる……目の前に女の子がいる。かわいらしい女の子。その子が"フェイ"と名乗った。名乗った瞬間、あたしと"フェイ"が混じり合った……」 |
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| 海人 | 「うそだっ! まじかよ由里子!!」 |
| 由里子 | 「ホントよ! 病院からあかりの遺体を運びだそうとしたとき、急に、あかりが泣き出したの! それで、病院大あわてで、あかりが"海人"って何度も呼んでたわ。あんた、先に帰っちゃったから……」 |
| 海人 | 「行くよっ、病院に!」 |
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| | SE:雑踏の音 |
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| 花田 | 「おいっ、困(る)んだよ。こんなところでウロチョロされちゃあ」 |
| 由里子 | 「あら花田さん、おひさしぶりね」 |
| 花田 | 「あちゃっ。はっ、"花田さん、おひさしぶりね"じゃないだろう、ホントに! 天界の辣腕検事、"ジャスティ"が人間のからだを借りて、こんなとこでなにやってんの?」 |
| 由里子 | 「"あかり"って子を見逃すために」 |
| 花田 | 「それはおれの仕事だ」 |
| 由里子 | 「そうね。でも、あなた解任されたわ」 |
| 花田 | 「うそっ、なにそれ!?」 |
| 由里子 | 「さあ、天界にもどりなさい!」 |
| 花田 | 「いやっ」 |
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| | SE:雷鳴 |
| | SE:消滅音 |
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| 由里子 | 「これでいい?」 |
| 死神 | 「ああ〜、ありがとう」 |
| 由里子 | 「死神に"ありがとう"って言われると、いい気持ちがしないわ。天使としては……」 |
| 死神 | 「ふふっ、恩に着るぜぇ〜」 |
| 由里子 | 「天界と魔界の境界線問題の会議をしたいの。そろそろテーブルについてくれないかしら?」 |
| 死神 | 「わかった。しばし、停戦しよう」 |
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| | SE:雑踏の音 |
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| 海人 | 「ようっ、もういいのか?」 |
| あかり | 「うん」 |
| 海人 | 「えへっ。でもよかった。あかりが生き返って」 |
| あかり | 「生き返って?」 |
| 海人 | 「ああ」 |
| あかり | 「あたし、死んだの?」 |
| 海人 | 「そうだよ」 |
| あかり | 「そう……それでか」 |
| 海人 | 「なにが?」 |
| あかり | 「ははっ。宇宙みたいなとこを漂っていたの。そこでなんか、女の子と会ったように思う……」 |
| 海人 | 「臨死体験っていうやつだな」 |
| あかり | 「あたし、命をもらったのかな?」 |
| 海人 | 「ふっ。命は誰かにもらうものだ。たとえば、おやじとかおふくろとか。そのまた両親に。そして、その両親……命は受け継がれている。人間は何100年も生きられるわけじゃないけど、魂という形で、なにか大事なものを受け継いで行くんだと思う」 |
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| | BGM:『サークルゲーム』 |
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| あかり | 「たまにいいこと言うねぇ〜」 |
| 海人 | 「ちょっとおまえ、それどーいうことぉー? おれがバカってことかぁ〜〜〜! ぶにょぶにょ」 |
| あかり | 「わっ、や、やめてっ! 公園でなにするの!(笑いながら) バカっ、おっぱい触んな!」 |
| 海人 | 「やっ、いた! おまえ本気でなぐんなよぉ〜!」 |
| あかり | 「あはっ。野獣!」 |
| 海人 | 「うわぁー、おぉー、がおーーーっ!」 |
| あかり | 「海人〜」 |
| 海人 | 「おっ。なんだよ?」 |
| あかり | 「キスしようか」 |
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| | BGM:『サークルゲーム』が大きくなり消えていく |
| | BGM:『イマジン』 |
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| ナレーション | 「これは、ひとびとの忘れてしまった記憶の物語」 |
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