| タイトルコール | 「連続ラジオドラマ、デビルBOX 第2章 〜涅槃(ねはん)〜 その5」 |
| 語り | 「想いは疾走する。 時には、思わぬ早さで、それは駆け抜ける。 そして、同時多発的に、ひとつの想いが伝播する。 そのことを時代という。 ぼくたちはいま時代を駆け抜けている。 強い想いを持って、ぼくと同じ想いの人間と接続するために…… (レイ・グリーンの日記より)」 |
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| | BGM:テーマ曲 |
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| 霧子(独白) | 「あたし、霧子。フォツグの"霧"にこどもの"子"。19歳、独身。 本を開いたら、まばたきの間に、自分のアパートから、このクサナってとこに来た……シルエット侯爵の豪華客船に乗せられて、絵の中の世界に迷う込んでしまった……ゆがんだの世界へ」 |
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| | SE:機関車の汽笛 |
| | SE:シュウシュウ (蒸気が出る音) |
| | SE:ボッボッ、ボッ、ボッボッボッ…… (機関車が走る音) |
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| 霧子(独白) | 「な、なに? いきなり目の前に機関車が現れた……」 |
| シルエット | 「きみの想い出の世界、あの千切れ飛んだ忘却という橋をかけなおし、虹の橋を渡るのだ。 この機関車の完全な円運動こそ、世界のゆがみを矯正し、破棄し、まっさらな新世界へと。 行こう。想い出の都へ」 |
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| | SE:汽笛 |
| | SE:汽車の中 |
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| シルバースター(以下、シルバー) | 「きみは、どこへ行くの?」 |
| 霧子(独白) | 「前の座席に座っている青年が言った。 銀色の髪をかきあげながら。 その仕草が、妙になまめかしかった。 ……どうして男の指は、あんなにセクシーなんだろう。 きっと、おとこは子供を産めない代わりに、その指でいろんなもんを生み出すからだろうか……」 |
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| | BGM:ノスタルジックな音楽 |
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| シルバー | 「ぼくはシルバースター。世界を変えようとした強盗」 |
| 霧子 | 「強盗?」 |
| シルバー | 「そう。いろんなものを盗むんだ。 ネムの花の匂いがかすかにゆれて、鏡がふるえると、雨が降る音がして、 ……月も出ているのに雨の降る音がして、いくつものなつかしい顔が鏡のなかに映るんだ。 それをぼくは、そぅっと、うしろからかめとる。 すると、世界は変わってしまう。"想い出の鏡"の"想い出"が消失するから……」 |
| 霧子 | 「世界を変えてどうするの!?」 |
| シルバー | 「小箱に入れる」 |
| 霧子 | 「入れてどうするの?」 |
| シルバー | 「想い出をならべておく」 |
| 霧子(独白) | 「想い出の小箱の並べて、はたして世界は変わるのだろうか?」 |
| ゲートマスター(以下、マスター) | 「え、ご乗車ありがとうございーます。 このウエストゲート号は、みなさまの想い出の駅に停車してまいります。 次は……スドン! あなた!」 |
| 霧子 | 「あたし?」 |
| 霧子(独白) | 「お、驚いた。いきなり車掌が、あたしの胸に指を当てた」 |
| マスター | 「そうあなた。もう忘れてしまったかしら。 病院のベットで昼も夜もまさぐりあった、この指を。 登りつめた絶頂のなかで、沸騰した赤い血が、白々と明けてゆく窓に映って、血も白くなって、透き通る白い肌に青い血管が浮き上らせて、脳みそも真っ白になって、ほら、あのときのほつれ毛が、こんなに白くなっているの ……今夜お暇?」 |
| 霧子 | 「お、"お暇?"って……あたしどこに行くんですか?」 |
| マスター | 「およしなさい。、そんな冗談! 行き先のわからない人間がどこにいるんだ!?」 |
| 霧子 | 「ほんとにわからないんです!」 |
| マスター | 「……未来を見ているんだね。 これから起こることを見ようとしてるね。 それじゃ、わからないさ。明日なにが起こるかなんて誰にもわからない。 いいかい? わかっているのは、想い出のなかのことだけだ。 それだけが確定されたものさ。 次の駅は、後ろ側にしかないんだよ……」 |
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| | SE:シュウシュウ(蒸気の音) |
| | SE:機関車の走る音 |
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| 霧子(独白) | 「窓の外風景がどんどん前に流れてゆく。 この汽車はうしろに向かって走っていた……」 |
| シルバー | 「この小箱をあげよう。想い出の小箱……」 |
| 霧子(独白) | 「その小箱に、見覚えがあった。かすかに……なんだっけ……」 |
| マスター | 「思い切って振り返ってみることだ。そこに想い出の都がある。 夕日に染まった、あの懐かしい坂道を登った向こう招側に、あなたの想い出が」 |
| 霧子 | 「思い出した! この小箱……デビルBOX!」 |
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| | BGM:テーマ曲 |
| | SE:汽笛 |