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ICON デビルBOX 第67回 第2章 〜涅槃(ねはん)〜 その5
タイトルコール「連続ラジオドラマ、デビルBOX 第2章 〜涅槃(ねはん)〜 その5」
語り「想いは疾走する。
 時には、思わぬ早さで、それは駆け抜ける。
 そして、同時多発的に、ひとつの想いが伝播する。
 そのことを時代という。
 ぼくたちはいま時代を駆け抜けている。
 強い想いを持って、ぼくと同じ想いの人間と接続するために……
 (レイ・グリーンの日記より)」
 
 BGM:テーマ曲
 
霧子(独白)「あたし、霧子。フォツグの"霧"にこどもの"子"。19歳、独身。
 本を開いたら、まばたきの間に、自分のアパートから、このクサナってとこに来た……シルエット侯爵の豪華客船に乗せられて、絵の中の世界に迷う込んでしまった……ゆがんだの世界へ」
 
 SE:機関車の汽笛
 SE:シュウシュウ (蒸気が出る音)
 SE:ボッボッ、ボッ、ボッボッボッ…… (機関車が走る音)
 
霧子(独白)「な、なに? いきなり目の前に機関車が現れた……」
シルエット「きみの想い出の世界、あの千切れ飛んだ忘却という橋をかけなおし、虹の橋を渡るのだ。
 この機関車の完全な円運動こそ、世界のゆがみを矯正し、破棄し、まっさらな新世界へと。
 行こう。想い出の都へ」
 
 SE:汽笛
 SE:汽車の中
 
シルバースター(以下、シルバー)「きみは、どこへ行くの?」
霧子(独白)「前の座席に座っている青年が言った。
 銀色の髪をかきあげながら。
 その仕草が、妙になまめかしかった。
 ……どうして男の指は、あんなにセクシーなんだろう。
 きっと、おとこは子供を産めない代わりに、その指でいろんなもんを生み出すからだろうか……」
 
 BGM:ノスタルジックな音楽
 
シルバー「ぼくはシルバースター。世界を変えようとした強盗」
霧子「強盗?」
シルバー「そう。いろんなものを盗むんだ。
 ネムの花の匂いがかすかにゆれて、鏡がふるえると、雨が降る音がして、
 ……月も出ているのに雨の降る音がして、いくつものなつかしい顔が鏡のなかに映るんだ。
 それをぼくは、そぅっと、うしろからかめとる。
 すると、世界は変わってしまう。"想い出の鏡"の"想い出"が消失するから……」
霧子「世界を変えてどうするの!?」
シルバー「小箱に入れる」
霧子「入れてどうするの?」
シルバー「想い出をならべておく」
霧子(独白)「想い出の小箱の並べて、はたして世界は変わるのだろうか?」
ゲートマスター(以下、マスター)「え、ご乗車ありがとうございーます。
 このウエストゲート号は、みなさまの想い出の駅に停車してまいります。
 次は……スドン! あなた!」
霧子「あたし?」
霧子(独白)「お、驚いた。いきなり車掌が、あたしの胸に指を当てた」
マスター「そうあなた。もう忘れてしまったかしら。
 病院のベットで昼も夜もまさぐりあった、この指を。
 登りつめた絶頂のなかで、沸騰した赤い血が、白々と明けてゆく窓に映って、血も白くなって、透き通る白い肌に青い血管が浮き上らせて、脳みそも真っ白になって、ほら、あのときのほつれ毛が、こんなに白くなっているの
 ……今夜お暇?」
霧子「お、"お暇?"って……あたしどこに行くんですか?」
マスター「およしなさい。、そんな冗談!
 行き先のわからない人間がどこにいるんだ!?」
霧子「ほんとにわからないんです!」
マスター「……未来を見ているんだね。
 これから起こることを見ようとしてるね。
 それじゃ、わからないさ。明日なにが起こるかなんて誰にもわからない。
 いいかい? わかっているのは、想い出のなかのことだけだ。
 それだけが確定されたものさ。
 次の駅は、後ろ側にしかないんだよ……」
 
 SE:シュウシュウ(蒸気の音)
 SE:機関車の走る音
 
霧子(独白)「窓の外風景がどんどん前に流れてゆく。
 この汽車はうしろに向かって走っていた……」
シルバー「この小箱をあげよう。想い出の小箱……」
霧子(独白)「その小箱に、見覚えがあった。かすかに……なんだっけ……」
マスター「思い切って振り返ってみることだ。そこに想い出の都がある。
 夕日に染まった、あの懐かしい坂道を登った向こう招側に、あなたの想い出が」
霧子「思い出した! この小箱……デビルBOX!」
 
 BGM:テーマ曲
 SE:汽笛

●配役/タイトルコール、島崎霧子:横山智佐/シルエット伯爵:山口勝平
/語り:広井王子
/シルバースター:伊倉一恵/ゲートマスター:高乃麗


●ドラマ終了後のトーク
 今回の内容について、山口さんが「なんか、今回展開は小劇場チックでしたね」と言うと、横山さんも「あーー! そう思いましたー! 私もそう思いしましたぁ」と同じ感想を持ったことを話した。

 高乃さんも、今回のドラマについて「なんかコレ、アングラかな? くらいな感じでしたね」と山口さんと同じような印象をうけた様子。

 横山さんは、「普段、中々こういうのしゃべる機会がないですからね」と楽しそう。

 一同があまりにも口をそろえた様に「小劇場チック」と言うからか、広井さんは「いや、でもこの(涅槃の)シリーズは、ずっとこんな感じでしょ?」と横山さんと山口さんに同意を求め、今回だけではないことをゲストに説明した。

 山口さんは特に台詞回しが気になったようで、高乃さんが担当した独特な雰囲気のあるセリフについて「意味を気にしないで、ポンポンしゃべったモン勝ち」と、演じる側からの見方を語った。

●出演はがき
◆北村冬樹さん(千葉県)
 「シルバースター」
 強盗。心を奪う。美形。悪魔の心を奪いコレクションしている。指名手配中。
◆うみぶどうさん(沖縄県)
 「ゲートマスター」
 機関車の車掌。想い出の都へと爆走する列車を動かす悪魔。ヒトの想い出を左右できる。

 役の説明がおわると、高乃さんは「あー、やっぱり悪魔だったんだ」と言い、「えぇ、もう1回やろうかな?」と控えめにリテイクを希望した。



 ここでゲストが帰る為、横山さんは「最後に、月並みではございますが、ラジオの前の皆様にメッセージをお願いします」と、ゲストふたりにメッセージをお願いした。

高乃「はい。えーー、今回もぅ"最後"ということで、みんなの汗と、根性と、努力、みたいな? えぇ、くらいつくガッツを、お見せできたらと、もぅなんか、"いいな"と思います。だからでも、"最後"だからといってね、別に舞い上がる訳でもなく、平常心を保ってね、1回1回だいじに……えー、それこそ、1回1回がファイナルのつもりで、良いものを見せたいと思います。うん。だからほんとに、"みんな観にきてね"って感じですね」
伊倉「そうそう。ビデオとかは、あの観られるんだけれども、これから先もずっと。今までと変わらない……、っていうか若かった(笑) 私たちが。ね? 歳とってからもずっと。"生"で、あの現場で、ね? あの空気をいっしょに楽しめるのは、ほんと最後なので、楽しみたいと思います」

 広井さんは、ゲストふたりのメッセージに相槌をうちながら、最後は「なるほど。まったくだ」と感心した様子で答えた。

 最後、横山さんはゲストふたりにお礼を言い、番組はCMへうつった。



2006年7月22日放送マル天ダイジェストはこちら



  アングラ
 アンダーグラウンドの略で、今回は「アンダーグラウンド演劇」のことをさしている。前衛的な演劇のことで、セリフや設定に特徴がある。

 
 


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