| タイトルコール | 「連続ラジオドラマ、デビルBOX 〜夜明けの黒蝶(くろちょう)〜 その1」 |
| 語り | 「言葉は、あらゆるものを生み出す創造者である。
『はじめに言葉ありき、そして光あれと神は言った。闇から光が生まれ、光から天地が分かれ、海が生まれ、生命が宿る……』
おわかりだろうか、神は言葉なのだ。そして、これはあなたの物語なのだ(キリン・ウイリアムスの手帳より)」 |
| 海人(独白) | 「おれ、1度、死んだ。車にはねられたとき、痛くはなかった。強い衝撃があって、なんか、押されたように感じて、あっと思ったら、そこに俺がいた。俺は、じっと、横たわる俺を見ていた。周囲の音が、すごく遠くのように感じて、俺のからだが浮いた。浮いた瞬間、俺は、地球そのものを、遠い宇宙の彼方から、見ていた。ああ、あれが地球か。そう思ったとき、からだの中に、言いしれぬ寂しさがこみ上げてきて、涙がポロポロこぼれた。もう、どんなことにも、俺は関わることは出来ない。俺の関わらない時間が流れて行く……』 |
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| | SE:雑踏の音 |
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| あかり | 「ねえ、海人?」 |
| 海人 | 「なに?」 |
| あかり | 「ほんとに、海人は死んだの?」 |
| 海人 | 「ああ、……死んだ」 |
| あかり | 「でも、あたしには、はっきり見えてるんだけどなー?」 |
| 海人 | 「だから、見えるのは、あかりと、それから、悪魔たちだけ……」 |
| あかり | 「え、いや。でも、なんで、あたしだけに見えるの?」 |
| 海人 | 「おまえを守ろうと、おれが強く思ったからさ」 |
| あかり | 「あ、あたしを守る?」 |
| 海人 | 「言っておかなくちゃならないことがある……」 |
| あかり | 「なによ?」 |
| 海人 | 「……あのな、悪魔が狙ったのは、おまえなんだ……」 |
| あかり | 「え? ……ええっ?! なに? ど、どーして?」 |
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| あかり(独白) | 「あたし、すごく動揺した。頭の中がぐちゃぐちゃになった。考えてることがすっとんだ。記憶の中にある事柄が、メチャクチャな順番で頭の中に浮かぶ。海人が車に跳ねられたときの光景。黒いチョウチョがいっぱい飛んでいた。あたしの叫び声。海人の笑い声。小学校の遠足。母が出してくれたショートケーキ。あたしのランジェリーコレクション……」 |
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| あかり | 「なんで、あたしが悪魔に狙われるの?」 |
| 海人 | 「わかんない……たぶん」 |
| あかり | 「たぶん?」 |
| 海人 | 「おまえ、可愛いからじゃない」 |
| あかり | 「それ、マジに言ってる?」 |
| 海人 | 「半分、冗談」 |
| あかり | 「この会話にふさわしい?」 |
| 海人 | 「ごめん」 |
| あかり | 「じゃあ、海人は、……あのとき、あたしが狙われているってわかったの?」 |
| 海人 | 「ああ。……わかった」 |
| あかり | 「なんで?」 |
| 海人 | 「うん、なんでって言われても、説明しにくいんだな」 |
| あかり | 「説明して!」 |
| 海人 | 「うん、あー……。あ、愛じゃないかな?」 |
| あかり | 「はあぁ?」 |
| 海人 | 「愛だよ」 |
| あかり | 「じゃあ、……海人は、あたしを愛していたから、あたしが悪魔に狙われているってわかって、それで、それで、あたしの身代わりに?」 |
| 海人 | 「あ、う〜ん、身代わりってことじゃないんだけど、……結果的に、そうなっちやったかな。……どうも、そーいうシステムらしい」 |
| あかり | 「システム?」 |
| 海人 | 「ああ、うん。システム。悪魔が狙った相手を助けたとき、その災難は、助けた相手にふりかかるってのが、魔界・キュアレスビトーのシステムなんだって」 |
| あかり | 「海人……あんた、よく、そんな淡々と言えるわね? ……海人、あたしの代りに死んじゃったんだよ?!」 |
| 海人 | 「しょうがないじゃない。いまさら。ねぇ?」 |
| あかり | 「"ねぇ"、じゃないでしょ?! あ、そうだ、生き返る方法あるんだよね? 前にそんなこと言ってなかったっけ」 |
| 海人 | 「まあ、俺のためには、俺を殺した悪魔を倒せば、俺はまた蘇るって聞いたんだ。……だから、未練だけどさ、おまえにとりついたんだ」 |
| あかり | 「未練なんかじゃない! 絶対に、未練じゃない。誰だって、そー思うよ。あたしにとりつくんだってぜーんぜんオッケー! あたし、海人助ける!」 |
| 海人 | 「ありがとう」 |
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| あかり(独白) | 「その約束が、このあと大変なことになるなんて、その時は、考えもしなかった……」 |