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ICON 第24回 ジェリーグリーンの森
世界はカオスに包まれている。そして「語り部」によって、その歴史を刻む。
   
  BGM:フジ子=ヘミングの『カンパネラ』
   
男1 「ジェリーグリーンの森は、今日も薄墨を流したような表情を見せている。森の中央にひときわ高くそびえる巨木は、ずっとそこにいて、この国の歴史を見つめている。森の中に足を踏み入れると、ひんやりとした空気がほとばしる情念を一時、冷ましてくれる。下草はどこも絨毯のように厚く敷かれ、いたるところに清冽なわき水を見つけることができる。森は深く、そして神聖であった」
女1 「ジェリーグリーンの泉は、今日も深い悲しみの色を浮かべ、静かにたたずんでいる。泉の中央にある浮島には、この国が出来る以前、龍たちが住んでいた、と語り継がれている。そして"泉の水に、からだをひたした人間は龍の呪いによって命を落とす"と言われていた」
男1

「その日、男と女は森のなかに足を踏み入れた。胸をしめつけるようなせつない時間が流れていた」

 
  SE:雷鳴
 
女2 「いやです! もう一度、王様にお頼みします。なぜ、なぜ好きなお方と結婚が出来ないのかと……」
男2 「それはあなた、無理なお話しですよ。あなたは美しい位のお生まれだ。それに高い血筋がおありになります」
女2 「位にいかほどの価値がありましょう。血筋に希望などありません」
男2 「疑ってはいけません」
女2 「疑います。わたしたちを取り巻くすべてを疑います。わたしに信じられるものがあるとすれば、それはあなたの愛だけ」
男2 「では、その愛も疑いなさいませ」
女2 「なぜ、なにを疑えとおっしゃるのです……」
男2 「愛という言葉を、その可憐な唇から言葉にしてお出しになった瞬間を、です。愛という言葉をです」
女2 「愛という言葉をですか」
男2 「その柔らかな胸に秘めた思いは、愛などという言葉に似つかわしくありません。秘めればこその思いは、言葉にはとうていなりませんよ」
女2 「あなた、わたしをお嫌いになりました?」
男2 「幾千の時間、あなたの思いを抱き、わたしの思いを注いだあなたを、いったいどうして嫌いになどなりましょう……」
女2 「ならば……」
男2 「だから……」
 
  SE:雷鳴
 
女2 「いかにわたしたちを取り巻く世間が、ふたりを認めてくれなくとも、たとえ、あなたがわたしの言葉に疑いをかけようと、わたしの思いは一点の曇りもありません」
 
  SE:雷鳴
 
男2 「愛の言葉だけで生きてゆけるほどに、人間は純粋ではありません」
女2 「ならば、生きなければいいのです」
男2 「それもまた、言葉遊び……」
女2 「いいえ。この世で生きることが難しいのなら、あの世で生きましょう。そして、わたしは、わたしの真っ直ぐな思いを貫いてみせましょう」
男2 「おやめなさい。それほどの純粋である必要はありませんよ、あなた」
女2 「愛は、あなたに見せるためのものではありません。愛は、わたしの思いです。あなた、そう言いました。愛は秘めたる思いだと」
 
  SE:雷鳴
 
男2 「あなた、いけない。その泉に、入ってはいけない」
 
  BGM:フジ子=ヘミングの『カンパネラ』
 
女1 「女はジェリーグリーンの泉に体を浸し、その命を絶った」
男1 「男はジェリーグリーンの森の中で、長い時間、泣いていた」
女1 「この世で、ふたりが結ばれることはない」
男1 「永遠の別れの中に、愛を見つけることが出来る。そして、この日、ひさしぶりの太陽が森の中を照らした」

●配役/男1:山口勝平/女1:横山智佐/女2:豊口めぐみ/男2:広井王子
タイトルコール:横山智佐

●出演はがき
佐藤あつしさん(東京都)
『ジェリーグリーンの森の伝説』の設定
ゆきまろげさん(北海道)
『愛の言葉は偽りの言葉』というフレーズ
●ドラマ終了後のトーク

 ドラマ終了直後、思わず「ほわああああん」と声を上げる山口さん。冒頭の台本上では9行ある台詞をミスをしないように読むのが大変だったらしい。ドキドキしてドラマの内容どころではなかったという山口さんであった。「あなた」いう言葉遣いが泉鏡花っぽくて、演劇風でよいと横山さん。「そうですね」と山口さんも同意する。その後に「演劇部っぽかったですよ」と横山さんの言葉に、「演劇部なのか〜」とやや当惑気味の広井さんであった。

●投稿はがき紹介
◆ユウナギカズさん(茨城県)
 はじめまして、こんばんは。『龍、そして風』という物語を考えてみました。舞台は"風のない谷"と呼ばれる谷。その谷には言い伝えがあって、その言い伝えを主人公のマイリスが見る、というお話です。谷の言い伝えはこうです。風が吹くと龍が出る。龍が出ると雨が降る。龍は恵みの雨をもたらしてくれる。風のない谷に風が吹く。それは龍の息吹。主人公のマイリスは本当は龍で、谷に雨を降らせるのですが、この年は別の龍が谷に雨を降らせにやってきて、自分が毎年していたことを初めて自分の目で見る。そして自分の心で、谷の住人達の幸せを感じ取る。最後に彼はこう言います。「俺は龍。風と雨を連れてくる、恵みの龍」
◆ヤマトウミネさん(埼玉県)
キャラクター、盗賊シークドラゴン。10年前に絶滅したシークドラゴンの生き残り。このドラゴンの翼は、死んだ後とても高価な宝石へと変わるため、人間に狙われ絶滅してしまった。怪盗シークドラゴンは満月の夜だけ人間の姿に変身し、仲間のドラゴンの翼(宝石)を盗みに来る。そして、それを空に帰す。

●投稿はがきでのトーク
 ユウナギカズさんの投稿が読まれた後、しばし考えた山口さんは「"風が吹くと桶屋が儲かる"みたいですね」と言うのであった。「みんな上手ですね〜」と感心する横山さん。

 ヤマトウミネさんの投稿では、「仲間の位牌を取りに来るみたいですね」と横山さんが言えば、「墓荒らしみたいですね」と山口さんが続けたのだが、例えが間違っていたことに気付き、「そうじゃないでしょ」と自らツッコミを入れていた。それをフォローするように「この場合、墓荒らしは人間なんだよ」と広井さんが解釈を加える。「今週はドキドキしてばっかりだから」と山口さんが大変そうに言うのであった。

2000年9月30日放送マル天ダイジェストはこちら


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